長崎市のシンガー・ソングライターで漫画家の岡野雄一さん(62)が、認知症を患う母(88)をテーマにした漫画冊子「ペコロスの母に会いに行く」を出版した。おばあちゃんキャラを中心に、介護のなかで起こる出来事を面白おかしく、ときに感動的に描いた短編集だ。
岡野さんは長崎市生まれでペコロスは愛称。20歳で上京し、出版社に勤務した後、40歳で帰郷。タウン誌などに勤めながら両親との同居を再開した。母に認知症の症状が出始めたのは父が亡くなった12年前で、6年前からはグループホームに入居している。病状は進行し、今では「要介護5」だ。
地元の雑誌などに漫画を執筆していたとき、母をモデルにしたキャラを登場させたところ人気が出て、作風が固まった。頭がはげた自身や、定職に就かない長男なども実名で登場させている。
作品は自宅で介護していたころと、グループホームに入居してからのエピソードが主な題材。岡野さんを他人と間違えたり、現実と若いころの思い出を勘違いしたりする日常を淡々と描く。母がかつて口にした昔話や、岡野さんの幼いころの記憶から母の人生を思う作品はどこか涙を誘い、坂や階段、造船所や港など作中の長崎らしい風景も味わい深い。
「人には人の老い方がある。生き方がある。死に方がある。介護のかたちがある」。西日本新聞で人生相談「比呂美の万事OK」を担当する詩人、伊藤比呂美さんは序文にこう寄せた。
東日本大震災のショックでしばらく筆が止まった時期もあったという。岡野さんは「認知症は深刻な題材だが、身内だからこそユーモアも交えられた。おばあちゃんキャラのかわいさを堪能してほしい」と話す。
作品を抜粋した展覧会が2月26日まで、長崎市東古川町のカフェ豆ちゃんで開かれている。
冊子はB5判、142ページ。千円(税込み)。長崎市内の書店で販売中。展覧会の問い合わせは同カフェ=095(825)4455。
2012/01/25付 西日本新聞朝刊より引用
音楽: ペコロスの唄/岡野雄一
岡野雄一HP: http://pokoross.hp.infoseek.co.jp/top.html


岡野さんは長崎市生まれでペコロスは愛称。20歳で上京し、出版社に勤務した後、40歳で帰郷。タウン誌などに勤めながら両親との同居を再開した。母に認知症の症状が出始めたのは父が亡くなった12年前で、6年前からはグループホームに入居している。病状は進行し、今では「要介護5」だ。
地元の雑誌などに漫画を執筆していたとき、母をモデルにしたキャラを登場させたところ人気が出て、作風が固まった。頭がはげた自身や、定職に就かない長男なども実名で登場させている。
作品は自宅で介護していたころと、グループホームに入居してからのエピソードが主な題材。岡野さんを他人と間違えたり、現実と若いころの思い出を勘違いしたりする日常を淡々と描く。母がかつて口にした昔話や、岡野さんの幼いころの記憶から母の人生を思う作品はどこか涙を誘い、坂や階段、造船所や港など作中の長崎らしい風景も味わい深い。
「人には人の老い方がある。生き方がある。死に方がある。介護のかたちがある」。西日本新聞で人生相談「比呂美の万事OK」を担当する詩人、伊藤比呂美さんは序文にこう寄せた。
東日本大震災のショックでしばらく筆が止まった時期もあったという。岡野さんは「認知症は深刻な題材だが、身内だからこそユーモアも交えられた。おばあちゃんキャラのかわいさを堪能してほしい」と話す。
作品を抜粋した展覧会が2月26日まで、長崎市東古川町のカフェ豆ちゃんで開かれている。
冊子はB5判、142ページ。千円(税込み)。長崎市内の書店で販売中。展覧会の問い合わせは同カフェ=095(825)4455。
2012/01/25付 西日本新聞朝刊より引用
音楽: ペコロスの唄/岡野雄一
岡野雄一HP: http://pokoross.hp.infoseek.co.jp/top.html

