その頃、コロナウイルスの何回目かの波がきてて、救急車がなかなか来なかったり受け入れ先が決まらないと噂は聞いていました。

実際救急車はすぐに到着してくれましたが、受け入れ先がなかなか決まりませんでした。

救急隊員の方も困っておられました。

通院していた医療センターも気がつけば往診の先生に来てもらうようになってから、6年ぐらい行っておらず、混み合ってるとのことで受け入れてはもらえませんでした。

受診歴が近年無いとダメなんだと思いました。

受け入れ先が決まらないまま一時間は軽く経っていたと思います。

ALSが原因のひとつでもあったと思います。

その間ずっと、必死で声をかけていました。

訪問看護師さんや、救急隊員、駆けつけてくれた往診の先生や夫のお兄さんの前でも、恥ずかしげもなく、

抑えきれずずっと夫を呼んでいました。

脳梗塞の可能性が高いと言う話も出ていたので

焦り、ダメかもしれないと思いました。


夫の顔が微笑んでいるように見えました。

安堵感に包まれたような優しい顔をしていました。

私は、生きててほしいと心から思いました。

辛いこと二人でいっぱい乗り越えてきて、

まだまだずっと一緒にいたいと思いました。

その気持ちを必死で伝えていましたが反応はありませんでした。


血圧が下がっていく中、往診の先生に何度も交渉してもらえて、

受け入れ先の病院がやっと見つかりました。