悩み事や心配ごとはどれだけ辛くても時間が解決してくれて、なんであんなことで苦しんだんだろうと後から振り返って笑いながら話したりして。。

そんなもんだと思ってた。

なのに夫のALSは全然違って、

時が経てば経つほど苦しかった。

私は毎日ALSに支配されていた。


あの頃、年老いてきた私の両親は、泣き言ばっかりの私を咎めることは一切せずに、手につかなかった家事の手伝いに来てくれていた。

夫の会社に私も付き添って出勤していたので、疲れて家に帰ると、いつも綺麗に片付けられてピカピカになっていた。


ある日、夫を会社に残して、一旦帰宅した時、

両親がいた。

私も一緒に片付けを始めた。

また夫のことを考えていた。

陶器のお米入れを落として、割ってしまい、床一面にお米を撒き散らしてしまった。

母が「危ないよ、落とすよ」と言ったのも全く聞こえてなかった。

それまで我慢してた気持ちが大爆発して、声を上げて泣いた。

こんな私でも夫や子どもたちの前では泣けなかった。


ふと、父が「今日の空はどんなんや?綺麗か?それともどんよりしてるか?」

「辛くなったら深呼吸してみろ、

周りを見てみることや、人も、景色も、いろんなことを、

こんな都会でも花ぐらい見つけられる、綺麗やで、、

すれ違った赤ちゃん、めっちゃ可愛いで、

娘たちは今日も元気で笑ってるか?

年頃やし、悩み事があったら聞いてやらんとな、

〇〇〇(愛犬)のこと最近撫でたってるか?いつもお前のこと見てるよ。

そうやって他に目を向けてみたら気持ちが楽になれるよ。

身なりはきちんとして、涙も拭いて。」

とゆっくり、諭すように優しく言った。


そんな気分になれるわけない、どうしていいか分からないと泣き叫ぶ私に、

父は

「辛い時、苦しい時こそ、ゆとりを持てるようにそうしてみるんや」

「我が身の苦しい時ほど他のことに、人に目を向けて見るんや」

「しんどいから人に優しく、親切にしてみるんやで」

「きっと楽になるよ」