(補論3) 「台湾独立」と国家成立要件
最後に台湾独立の理論を概説し、それが国家成立にどんな関係があるのか、あるいはないのかを検討していきたい。
最初に述べておかなければならないのは、「台湾独立」といっても、それが一枚岩ではないということである。台湾の中華民国体制からの独立、あるいは台湾共和国の建国を目指す運動の総称として「台湾独立運動」という言葉はあり、それを主張する人々を指す「台湾独立派」という言葉もある。しかし、その運動や派閥は理論や方法論によって、さまざまに分化している。さらにそれらは時代の変化にともなって質的な変化もしている。特に国民党から民進党への政権交代が行われたこと、「天然独」と呼ばれるような若者を主な支持層とする政党が議席を獲得したことなどを考えると、「台湾独立」などというものを総体として扱うことに大きな意味などなくなってきているといった感もある。
したがって、ここでは、台湾独立運動そのものについては基本的には触れない。
ここでは、台湾独立運動の支持者が主張する「台湾独立」といったものが、台湾を国家とする成立要件とどういうかんけいにあるのかを検討したい。