③台湾地位未定論への反論 中華民国政府の立場
ただ、この台湾の地位未定論は中華民国政府と中華人民共和国政府によって否定されている。
まず、台湾の中華民国外交部「台湾の国際法上の地位」(「臺灣的國際法地位」)は以下のように述べる。
「台湾は中華民国の領土である。これは完全に歴史と国際法の主張に合致している。・・・・国際法からすると「カイロ宣言」「ポツダム宣言」と「日本降伏文書」はどれも拘束力を持った法律文書である。・・・・「日華平和条約」(注:原文は「中日和約」)第2条は、「西暦1951年9月8日に米国サンフランシスコ市で締結された対日講和条約第2条に基づき、日本国は台湾及び澎湖諸島に対する・・・すべての権利、権利の名義及び要求を放棄したことを認める」である。この条項はサンフランシスコ講和条約体例に倣い、台湾と澎湖の中華民国返還を明文規定していないが、中華民国はこの二国間和約の締約当事国であり、第4条は民国30年(注:1941年)以前に日中間で締結された一切の条约(台湾から日本に割譲された「下関条約」を含む)は、いずれも戦争結果によって無効とされていることを認めているため、台湾が中華民国の领土であることを確認するという意図は明らかである。
また、日華平和条約の一部の条項は「台湾は中華民国に属する」ことを前提としている。そうでないと、この条項は意味がなく、実行できない。例えば、第3条の台湾澎湖における日本の財産の処理、第10条の台湾澎湖住民の中華民国国民の認定などである。」
中華民國外交部「臺灣的國際法地位」
https://www.mofa.gov.tw/News_Content.aspx?n=E5B60D75EBD02E77&sms=779A2E76271875CF&s=A421F866010C8490
ここで重要なのは、カイロ宣言が有効な法律文書であるとしている点である。さらにアメリカ政府が「台湾および澎湖島を・・・中華民国に返還」というのを目標、あるいは予定であると考えていたのに対して、中華民国政府は拘束力を持っていると考えていることも重要である。つまり、ポツダム宣言によって、実際に台湾は中華民国に返還されたと考えるべきであるとするのである。カイロ宣言とポツダム宣言を素直に文字通りに読めば、そういうことになるわけである。
また、この外交部の文書は、国民党政権の時代だけでなく民進党政権の現在も同様に掲げられていることも重要である。