「ワタシのイチ押し」が掲載500回を迎えました。


風景写真 カメラ1


今年は藤田嗣治(1886-1968年)の生誕130年なんですね。
京都国立近代美術館でも『藤田嗣治展』を開催していたのは、今朝、知りました。

藤田嗣治との出会いは、数十年前の、京都国立近代美術館の常設展です。古い建物の時で、メインの美術展は覚えていないのですが、期待せずに入った部屋に、ピカソがあり、藤田嗣治の作品が展示されてました。私はこの画家を知りませんでしたが、作品に驚かされました。

乳白色の裸婦と猫。油絵にしては、この細い線をどのように描いたのか不思議でした。その線は、面相筆に墨で描かれているようです。油絵に墨は描けません。何を混ぜたのでしょうね。


◆藤田嗣治は日本男子だった。
日本人だと言わんばかりのサインです。
英語と漢字で名前を書いていました。
サイン1

◆フランス人になってからのサインです。
「嗣治」の文字は消えました。
サイン2



風景写真 レンズ3
藤田嗣治
「自画像」
1929年 油彩/布 61×50.2cm
東京国立近代美術館

フランスに渡った頃の作品。オカッパ頭にピアスという、あの時代なら異端児でしょうね。猫のふてぶてしい表情がいいです。


風景写真 レンズ4
藤田嗣治
「秋田の娘」
1937年 油彩/布 33×23.7cm
下関市立美術館

娘の表情がいい。日本の風景もいいですね。大作「秋田の行事」の関連で出来た作品です。


風景写真 レンズ5
藤田嗣治
「猫」
1940年 油彩/布 81×100cm
東京国立近代美術館

猫たちは、何をしているのでしょうか。喧嘩かな? 運動会かな? 一匹、一匹の猫の表情が良かった。
対比して「サーカスの人気者」という、犬だけの作品もありましたよ。


風景写真 レンズ6
藤田嗣治
「アッツ島玉砕」 
1943年 油彩/布 193.5×259.5cm
東京国立近代美術館

藤田が日本國の為に描いた、戦争作品です。この作品を日本の為に描いた事により、皮肉にも日本を出ることになり、彼はどんな思いでフランスに渡ったのでしょうね。
彼が描きたかったのは、単なる戦争画だったのでしょうか? 玉砕の絵もあり、戦争の怖さが判りました。


風景写真 レンズ7
藤田嗣治
「小さな主婦」 
1956年 油彩/布 55×33cm
いづみ画廊

藤田には子どもがいなかったので、「小さな主婦」に描いた子どもは、藤田の想像した、理想の子どもだと言われています。この頃はピカソと親交があったそうで、初めて見た京都の美術館の部屋に、ピカソと藤田嗣治が展示されていたのを思い出しました。

日本を追放され、最後の妻、君代さんとフランスに渡って、フランス国籍を取得し、キリスト教に入信して、藤田の人生は波乱万丈ですね。人生に無駄はないといいます。藤田の生涯はまさしく、その通りだと思います。

この展覧会は、歴史に翻弄された日本男子の美術展だと思いました。


藤田嗣治2

『生誕130年記念 藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画』
◆2016年7月16日(土)-9月22日(木・祝)
 兵庫県立美術館
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兵庫県立美術館 →
(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1 HAT神戸内)

【藤田嗣治の肉声テープ発見】


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