【一枚の絵・32】

愛知県文化会館美術館
『田中一村展』(1991年)より
田中一村
《ビロウとアカショウビン》
絹本彩色
1962年 153×57

風景写真 カメラ1


ひとこと、「なんでこんなスゴイひとが、いままで埋もれておったんだぁ!?」と叫びたくなる展覧会です。

「不世出の天才児」ともてはやされ、有望な画家として将来を期待されていたにもかかわらず、中央画壇との意見の相違から、生涯独りで我流の道を歩み続けた田中一村。
50歳で奄美大島に移り住み、紬工場で働きながら生活費を貯え、そして絵を描くという孤高の画家でありました。

彼の作品に登場する亜熱帯の草・木・花・鳥・魚たちはみな、生命感にあふれており、また、大胆な構図によって、見る者すべてを感動させずにはいられません。
これが本当に20年、30年前の絵なんでしょうか? 昨今ブームのエコロジー画家より何十倍もセンスがあるぞっ!

売るためでもなく、誰かに見せるためでもなく、ただ描きたいから描いている……彼の心意気の中に、芸術の原点を見たような気がいたしました。
(1991年7月)


『田中一村展』
◆1991年7月9日(火)-25日(木)
 愛知県文化会館美術館
(現・愛知県美術館



田中一村記念美術館 →
(鹿児島県奄美市笠利町節田1834)


【2010年・追記】
そのほかの展示作品は、こちらキラキラ

田中一村
《白花と赤翡翠》
絹本彩色
1967年 156×60
風景写真 レンズ1


田中一村
《アダンの海辺》
絹本彩色
1969年 156×76


田中一村
《花と鳥》
絹本彩色
昭和40年代 155×73


田中一村
《ビロウとブーゲンビレア》
絹本彩色
昭和40年代 155×73


田中一村
《クロトンと熱帯魚》
絹本彩色
1972,73年 45×50


田中一村
《クワズイモとソテツ》
絹本彩色
1972,73年 157×83


田中一村
《榕樹に虎みみづく》
絹本彩色
昭和40年代 154.3×73


【田中一村 新たなる全貌@千葉市美術館(2010年)】


【田中一村の作品が鹿児島・奄美市の寺で新たに見つかる(2022年)】


・テーマ「日本画」の記事一覧 →