名古屋市美術館
『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』(2018年)



「すべて、一人のコレクターが集めました」

ドイツに生まれ、スイスに移住した実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956)は、生涯を通じて美術品の収集に情熱を注ぎ、世界有数のプライベート・コレクションを作り上げました。
なかでも印象派・ポスト印象派の作品は、その質の高さゆえ世界中の美術ファンから注目されています。

(展覧会のチラシより)

補足しますと、ビュールレさんは武器商人で、
そちらの仕事で成功したお金で、学生の頃から大好きだった美術作品を集めたらしいです。


というわけで、
珠玉の印象派・ポスト印象派の作品を中心としたラインナップになってますよ〜キラキラ

・第1章 肖像画
・第2章 ヨーロッパの都市
・第3章 19世紀のフランス絵画
・第4章 印象派の風景―マネ、モネ、ピサロ、シスレー
・第5章 印象派の人物―ドガとルノワール
・第6章 ポール・セザンヌ
・第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ
・第8章 20世紀初頭のフランス絵画
・第9章 モダン・アート
・第10章 新たなる絵画の地平
(27作家、展示総数64点)

で、ワタシのお気に入りは、、、


◆ 第2章 ヨーロッパの都市

アントーニオ・カナール(カナレット)
《カナル・グランデ、ヴェネツィア》
キャンバスに油彩 1738-42年 121×152
ビュールレ・コレクション

とにかくリアル〜!目
カラー写真が登場する以前に、
カラー写真を超えてないかい…?ポーン


アンリ・マティス
《雪のサン=ミシェル橋、パリ》
キャンバスに油彩 1897年 60×73
ビュールレ・コレクション

マティスの風景画はあまり観たことがなくて。
セーヌ河沿いのサン=ミシェル河岸19番地にあった、
彼のアパルトマンからの風景だそう。


◆ 第4章 印象派の風景

アルフレッド・シスレー
《ブージヴァルの夏》
キャンバスに油彩 1876年 47×62
ビュールレ・コレクション

今回のワタシのイチ押しキラキラ
パッと見で、陽射しの加減、気温、湿度、川を渡る風、空気の匂い、船のエンジン音…といったものが、
その場にいるかのように、はっきりとわかる~音符
ほんに素晴らしい!グッグッグッ


クロード・モネ
《ヴェトゥイユ近郊のヒナゲシ畑》
キャンバスに油彩 1879年頃 73×92
ビュールレ・コレクション


◆ 第5章 印象派の人物

エドガー・ドガ
《控え室の踊り子たち》
キャンバスに油彩 1889年頃 41.5×92
ビュールレ・コレクション

横長の画面構成は、日本美術の影響を受けてるんですね。

さらにもう1点、


エドガー・ドガ
《14歳の小さな踊り子》
ブロンズに着彩、木綿のスカート、絹のリボン、木製の台
1880-81年 ワックスによる原作
1932-36年 ブロンズによる鋳造
高さ98
ビュールレ・コレクション

ドガがワックス(蝋)で制作した彫像をもとに、
後年ブロンズ化したものなのね。


ピエール=オーギュスト・ルノワール
《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》
キャンバスに油彩 1880年 65×54
ビュールレ・コレクション
可愛いイレーヌ

今回の目玉〜キラキラ
裕福な銀行家ルイ・カーン・ダンヴェール伯爵のご令嬢で、
このとき8歳だったそう。
10代前半かと思った…タラー

ちなみに、先の『サンパウロ美術館展』に掲載した
《バラ色と青色の服を着たカーン・ダンヴェールの少女たち》ですが、、、


ピエール=オーギュスト・ルノワール
《バラ色と青色の服を着たカーン・ダンヴェールの少女たち》
キャンバスに油彩 1881年 119×74
サンパウロ美術館

彼女らはイレーヌの妹で、
右がエリザべス(6歳)、左がアリス(5歳)とのことです。

ルノワール、もう一枚どうぞ。


ピエール=オーギュスト・ルノワール
《夏の帽子》
キャンバスに油彩 1893年 65×54
ビュールレ・コレクション


◆ 第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ
《自画像》
キャンバスに油彩 1887年 47×35.5
ビュールレ・コレクション


フィンセント・ファン・ゴッホ
《日没を背に種まく人》
キャンバスに油彩 1888年 73×92
ビュールレ・コレクション
日没を背に種まく人

ゴッホが敬愛してやまなかったジャン=フランソワ・ミレーの《種まく人》から着想を得た作品。
太いリンゴの木が画面を分断するという構図は、
日本の浮世絵の影響を受けたものでもあり、
また、当時ゴーギャンからゴッホ宛てに素描付きの手紙が届いたそうで、その素描に描かれていた木の配置の影響を受けたものでもあるらしい。


フィンセント・ファン・ゴッホ
《花咲くマロニエの枝》
キャンバスに油彩 1890年 73×92
ビュールレ・コレクション

ゴッホって、意外といろんな花の絵を描いてますね。


◆ 第10章 新たなる絵画の地平

クロード・モネ
《睡蓮の池、緑の反映》
キャンバスに油彩 1920-26年 200×425
ビュールレ・コレクション

この章は、こちらの作品1点のみです。
スイス国外に出るのは今回が初めてだそう。
写真撮影OKですよんカメラ


ビュールレさんが約20年かけて集めたコレクションは600点超。
彼が亡くなってから4年後の1960年、
作品が飾られていた自宅の一部が美術館になったんですが、
2008年にドガ、モネ、ゴッホ、セザンヌの絵画盗難事件(その後、無事に回収)があり、警備上の問題から2015年に閉館。。。
2020年、すべてのコレクションがチューリヒ美術館の新館に移管されることになるため、
もう「ビュールレ・コレクション」としてまとめて来日することはないだろう、とのことです。

どうぞこの機会をお見逃しなく〜〜キラキラ



『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
◆2018年7月28日(土)-9月24日(月・振休)
 名古屋市美術館
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(名古屋が最終会場です)


名古屋市美術館 →
(名古屋市中区栄2-17-25 白川公園内)

【至上の印象派展@国立新美術館】

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