名古屋 古川美術館
『名品コレクションⅡ 女性を描く 〜少女から婦人まで』(2016年)



今年最後(たぶん…)の絵画観賞は、古川美術館の「女性像」のコレクションピンクハート
かわいい女の子も、きれいなお姉さんも、大好きです。

女性像は、太古の昔から世界中の画家たちが描いてきたテーマのひとつですが、日本では洋画と日本画とで、表現の仕方が違っていたりするんですね。
少女から大人の女性まで、さまざまな女性美を観賞しつつ、
和と洋それぞれの絵画の持つエッセンスを堪能しました音符
(全3章、33作家、展示総数38点)


ではでは、展示作品の一部をご紹介しまーすキラキラ


◆ テーマ1 女性表現の多様性―日本画と洋画

上村松園
《紅葉狩》
絹本着色
古川美術館
上村松園 紅葉狩 古川美術館

毅然たる中につつましやかさ、優しさ、女らしさを備えていることは日本女性のもつ美徳であり、これあってはじめて、いざという場合、真のよさが発揮される。(上村松園)

ただ外見が美しいだけじゃなく、意志を持ったひとりの人間としての内面的な美しさも感じられます。


鏑木清方
《夕立》
絹本着色
古川美術館

こちらも女性の心情を美しく捉えております。


小磯良平
《踊り子》
紙に水彩、ペン 1967年
古川美術館
9

私はむしろコスチュームの人物に終始惹かれている。
踊り子を描く場合も、そのコスチュームに関心があった。

(小磯良平)

なるほど、そうでしたか!ひらめき電球


◆ テーマ2 艶やかなる女性像

伊東深水
《香衣》
絹本着色 1927年頃
古川美術館

深水の師匠、鏑木清方が言うところの
「ねっとりとした煉りものを見るような妖しい感触」
を感じさせる作品。

「艶やかなる女性像」ということで、洋画の裸婦の絵も展示されています。
それに対し、日本画では裸の女性を描くのではなく、着衣の中にちらりと見える腕や足、うなじなどで色香を表現。和と洋、両者の表現方法の違いを楽しみましたニコニコ


◆ テーマ3 咲き誇る女の一生

藤井 勉
《モルゲンロート》
キャンバスに油彩 1987年
古川美術館

作者の娘さんをモデルにした作品のひとつ。
髪の毛一筋一筋や衣服の襞が、精密に描かれてます。
静謐で詩的な雰囲気が漂う作風は、アンドリュー・ワイエスの作品に感銘を受けたからなのだとか(←納得!)。
「モルゲンロート」は登山用語……「朝日で山肌や雲が赤く染まること」でいいのかな。

実は、先のテーマ1の展示室に、このひとの《春浅く》(1992年)という絵があり、そちらが今回のイチ押し!なんだけど、ポストカードになっていなくてとっても残念〜〜えーん
もうリアル過ぎる作品です。ぜひ、実物をご覧ください!


三輪良平
《大原女》
紙本着色
古川美術館

京都ならではの風俗として登場する、大原女(おはらめ)。
京都北部の大原の女性で、炭や薪などを頭の上や牛に載せて京の町まで売りに歩いた人たちを指します。
労働する女性の飾らない美しさと逞しさ。舞妓とともに、京都特有の美人画の題材になっています。


梶原緋佐子
《清香》
絹本着色
古川美術館

ウェーブがかかった髪を結い上げたモダンな女性。
ほんのりと赤みのさした頬、ふっくらと柔らかな手の描写が、健康的な美を感じさせる一枚。


伊藤小坡
《春寒》
絹本着色
古川美術館

「読書をする女性」の図は、江戸時代の浮世絵によく見られるモチーフだそう。
色香の中にも知的な印象を感じさせる美人です。


レオナール・フジタ(藤田嗣治)
《Femme(婦人像)》
紙に水彩、パステル
古川美術館

面相筆を用いた鋭い描線と乳白色の絵肌で知られる、
レオナール・フジタ(藤田嗣治)。
彼の芸術の根底にあるのも日本の美術です。
喜多川歌麿や鈴木春信などの浮世絵から「肌という最も美しいマチエールを表現しよう」と決意し、独自の女性像を完成させたんだそうな。


というわけで、今回も眼福にあずからせていただきました〜拍手
ほんに、古川美術館のコレクションはいつ見ても素晴らしい!
爲三郎さん、ありがとうピンクハート
来年もまた、素敵な企画展をよろしくです。


『名品コレクションⅡ 女性を描く 〜少女から婦人まで』
◆2016年10月29日(土)-12月18日(日)
 古川美術館(名古屋)
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古川美術館 →
(名古屋市千種区池下町2-50)

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