愛知県美術館
『シャガール展』(2014年)



20世紀を代表する画家、マルク・シャガール(1887-1985)キラキラ
その、後半生に彼が手がけたモニュメント(記念碑的作品)を、日本で初めて本格的に紹介する展覧会です。

絵画や版画のほかに、壁画・天井画の下絵、ステンドグラス、タピスリー、バレエの衣装、陶芸、ガラス絵、彫刻……と、盛りだくさんな内容ですよ~音符
(全3章、展示総数242点)


◆ 第一章 祝祭の空間―色彩の交響

1963年、シャガールがフランスの文化大臣アンドレ・マルローから依頼を受けて制作した、パリ・オペラ座(オペラ・ガルニエ)の天井画。

描かれているのは、
オペラやバレエに登場するモチーフです。


マルク・シャガール
《オペラ座天井画のための最終下絵》
紙にグワッシュ 1963年 140×140
個人蔵


マルク・シャガール
《パリ・オペラ座の天井画》(参考画像)
1964年


【パリ・オペラ座の天井画】



マルク・シャガール
《「魔笛」の思い出》
キャンバスに油彩 1976年 113.5×194.8
個人蔵


ワタシのお気に入り、イヴェット・コキール=プランス(1928-2005)の手によるタピスリーもありますピンクハート


マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス
《サーカス Ⅰ》
タピスリー 1970年 238×199
個人蔵


この章にはほかに、
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の壁画のための下絵、版画「ダフニスとクロエ」、
バレエ「ダフニスとクロエ」の衣装デザインと実際の衣装、
バレエ「火の鳥」の衣装デザインなどの展示がありますよ音符


◆ 第二章 精神の光―祈りの造形

1950年代から始まる壁画、ステンドグラスなど宗教建築のための制作は、東欧系ユダヤ人として生まれたシャガールにとって、自らのアイデンティティーを強く意識する機会にもなりました。
そこには、精神的支柱とも言うべき旧約聖書の世界が描かれています。


マルク・シャガール
《ハダサ医療センター附属シナゴーグのステンドグラスのための最終下絵 : レビの部族》(第5段階)
紙にグワッシュ、水彩、パステル、墨 1960年 40.7×30
個人蔵

エルサレムにあるヘブライ大学附属ハダサ医療センター
敷地内に建つシナゴーグ(会堂)。

「イスラエル12部族」をテーマにした、
12枚のステンドグラスが飾られています。

【ハダサ医療センター附属シナゴーグのステンドグラス】



こちらは、メッス大聖堂(フランス)のステンドグラス。


マルク・シャガール
《メッス大聖堂内陣北側薔薇窓 : シンボルに囲まれたキリスト》
ステンドグラス 1964年 190×190
パリ・現代芸術国立センター


【メッス大聖堂(サン=テティエンヌ大聖堂)】

(シャガールのステンドグラスは2分40秒頃から登場)


また、名古屋展では下絵の紹介がありませんが、
シャガールはランス(フランス)のノートルダム大聖堂のステンドグラス制作にも携わっています(1973-74年)。

【ランス・ノートルダム大聖堂】

(シャガールのステンドグラスは4分頃から登場)


そして、ここにもタピスリーピンクハート


マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス
《モーセ》
タピスリー 1973年 320×235
個人蔵


あと、特設コーナーの「シャガールを巡る旅」という映像(6分ほど)は必見!
オペラ座の天井画、ノートルダム大聖堂のステンドグラス、ハダサ医療センターのステンドグラス、ニース大学のモザイク壁画が、正面・左右・天井の4つのスクリーンを用いて映し出され、臨場感たっぷりですよグッ

この章にはほかに、
旧約聖書の物語に関する油彩、版画、壺、絵皿などが展示されてます音符


◆ 第三章 南仏での安息―晩年の境地

1949年、南フランスへ移住し、コート・ダジュールを制作の拠点としたシャガールは、その地を終の棲家としました。
激動の時代をくぐり抜けてきた画家に、穏やかな南フランスの地は大いなる安息をもたらしました。


マルク・シャガール
《天蓋の花嫁》
キャンバスに油彩 1949年 115×94
AOKIホールディングス


マルク・シャガール
《パリの空に花》
キャンバスに油彩 1967年 148×140
北海道立近代美術館


マルク・シャガール
《サン=ポールの上の恋人たち》
キャンバスに油彩 1970-71年 145×130
個人蔵


マルク・シャガール
《空想の動物(ロバ/空想の馬)》
石膏 1952年 52×80×20
個人蔵


マルク・シャガール
《恋人たちと山羊(横たわる恋人たち)》
大理石 1952年 21.7×38×12
個人蔵


マルク・シャガール
《青いロバ》
壺 1954年 31.5×22
個人蔵


そして、ここにもタピスリーピンクハート


マルク・シャガール/イヴェット・コキール=プランス
《平和》(部分)
タピスリー 2001年 410×620
個人蔵
平和

このタピスリーは、ニューヨークの国連本部ビルにあるシャガールのステンドグラスをもとに制作されたそうな。

この章にはほかに、
ニース大学のモザイク壁画のための下絵、
絵皿やガラス絵などが展示されてますよ音符


旧約聖書やギリシャ神話にまつわるものが多いためか、
自然と厳かな気持ちになります……
これほど敬虔な気持ちでシャガール作品を見たのは初めてのことかも?
みなさまも、ぜひぜひ実物をご覧ください!キラキラ


『シャガール展』
◆2014年4月17日(木)-6月8日(日)
 愛知県美術館
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(愛知が最終会場です)


愛知県美術館 →
(名古屋市東区東桜1-13-2)

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