名古屋市美術館で開催中の『ドラクロワとフランス・ロマン主義展』(1989年)に行ってきました。
(本当は、常設展のデイヴィッド・ホックニーおじさんが観たかっただけなのでした…)

とにかく入ってみました。
入口正面にドーン!と置いてあります、ドラクロワの《怒れるメディア》。


ウジェーヌ・ドラクロワ
《怒れるメディア》
1838年

うーむ……やっぱり迫力はありますね。それと額がいいです。
あと、これをこのクオリティーで保存できる美術館がある国は羨ましい。
でも、ドラクロワって人がどんな人でどう生きた、っていう物語(ストーリー)を知らないし、この人、印象派の展覧会でもお目にかかることもあって、オイラの中でいまいち歴史の中での位置づけがはっきりしないんだよね。
ま、んなことはどーでもいい。

で、作品をずずっ、と観てゆくわけだけど、今回の展覧会ではイギリス、ドイツ、フランスのロマン主義を総合的に捉えようとしていて、順路を7つのテーマ・ブースに分け、「ロマン主義の芸術家」「死」「女性のイメージ」「肖像」「風景画」などに分類しています。
これはとても分かりやすく、いわゆる「技法」や「精神」の流行りがどう移っていったのかを捉える足場を設けてくれているんですよね。


オラース・ヴェルネ
《死の天使》
1851年


ところで、1階の作品を観終わって、オイラは自分自身について気づいたことがありました。それは、
「オイラやっぱり日本人で、肌が黄色い人種なんだよなぁ…。何であいつらが、こんなにまでして宗教画描くのか分かんねェもん」
ただね、いわゆるアカデミックな技法というのは、この時代で完全にその土台を完成させてますね。例えば、ドラクロワの《怒れるメディア》しかり、ヴェルネの《死の天使》しかり。
平面上に現れるとんでもないパースペクティブと、光線のまわり方や陰影の再現する技法による技法、みたいな、ローテクな時代の最もハイテクな表現法ですね。

さて、2階なんですけど、風景画が主で、はっきり言ってつまんなかったです。
あ、でも一人、とんでもない奴がいました。
シャルル・キュイザンという画家で、《トロワの風景》など小品が数点、隅に展示されていました。


シャルル・キュイザン
《トロワの風景(ムーラン・ブリュレ橋からの眺め)》
制作年不詳

この時代に全く興味を示さないようなクールな画風は、もう19世紀を飛び越えて20世紀半ばの感覚です。
んーとね、アメリカのノーマン・ロックウェルがヨーロッパの風景を描いたら近いタッチになるんじゃないか、ってくらいにいいんだよね。
まるでシルクスクリーン的なタッチが、うわーっ!! かっちょいい! なのに、ホント隅の隅っこに追いやられて、気づく人も少なかった展示には不満でした。

ちなみに、常設展のデイヴィッド・ホックニーおじさんは、もー最高に良かった! 元気の出るアートが健康的でいい!


『ドラクロワとフランス・ロマン主義展』
◆1989年10月10日(火・祝)-11月26日(日)
 名古屋市美術館
・Twitter →


名古屋市美術館 →
(名古屋市中区栄2-17-25 白川公園内)

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・『ドラクロワとフランス・ロマン主義展展』②(1989年)


【2008年・追記】
ずいぶん昔の記事ですが……そのまま載せます(^^;)


【ウジェーヌ・ドラクロワ作品集】


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