アニメ映画の予算が明らかにするハリウッドの最大の問題点 | 海外の日本アニメについて

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ハリウッドのカートゥーン映画が減少する一方で、アニメ映画は興行収入を上げています。これは、ハリウッド側の予算の肥大化と収益の減少が主な原因です。



世界的に人気が高まっているアニメは、いくつかの国で旋風を巻き起こしていますが、そのアニメが静かに支配している地域が一つあります。
アニメの隆盛とともに、欧米のカートゥーンは、特にハリウッドに関しては、やや下火になっています。この違いは、主に作品の予算、そして利益率に表れています。

アニメ映画の予算は、ディズニーやワーナーブラザーズなどのカートゥーン映画と比べると微々たるものですが、その分、興行収入ははるかに良いです。
これは、多くの要因に起因するもので、特にアニメ業界の労働条件が大きな理由として考えられます。
いずれにせよ、アニメと比較して、ハリウッド・カートゥーンの肥大化した予算について綿密に吟味してみましょう。

 

 
 

2022年はハリウッド・カートゥーンにとって最悪の年のひとつだった



全体として、2022年はハリウッドのカートゥーン映画や子供向け映画にとって悲惨な年でした。
4500万ドル(58.5億円/1ドル130円)という比較的少ない予算にもかかわらず、不振に終わった『ハンクの肉球大決戦』の遅ればせながらの公開を覚えている人は、ほとんどいません。
『DC がんばれ!スーパーペット』は、9000万ドル(117億円)の予算で2億ドル(260億円)を稼ぎ出すという、そこそこのヒット作になりました。
これはかなりまともな成功のように聞こえますが、この映画のマーケティング予算が制作予算の数字をその2倍にまで膨らませた可能性があることを考慮しなければなりません。
ドリームワークスの映画『バッドガイズ』の方が成功し、予算6900万ドルから8000万ドル(104億円)程度で2億5000万ドル(325億円)を稼ぎました。
が、2022年最大のハリウッドフルカートゥーン映画は『ミニオンズ フィーバー』でした。この映画は2015年に公開された『ミニオンズ』の続編になります。『ミニオンズ』は『怪盗グルーの月泥棒 3D』の前日譚となる話でした。
『ミニオンズ フィーバー』は、8000万ドル(104億円)の予算で10億ドル(1300億円)近い興行収入を記録しました。

成功の最高潮といえば聞こえはいいですが、ハリウッド最大のカートゥーンの発信地は怒とうの勢いで失敗したのです。
例えば、『トイ・ストーリー』のゆるゆるスピンオフ作品は、興行収入2億ドル(260億円)でしたが、同じくらいの予算をかけていたので、大失敗でした。
同じことが、『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』にも言え、1億3500万ドルから1億8000万ドル(234億円)という少ない予算ながら、興行収入は7500万ドル(97.5億円)程度にとどまりました。

これらの作品の予算は、ハリウッドの大作実写映画と同等であり、両作品とも大ヒットした『トップガン マーヴェリック』と同等かそれ以上の予算でした。
言うまでも無い事ですが、カートゥーン映画の予算は大きな問題であり、収益を圧迫しているのは間違いありません。一方、アニメ映画は、カートゥーンと映画に関して、より良い成功のレシピを提供してくれるかもしれません。

 

 
 

2020年代はアニメ映画が興行を席巻している

近年のアニメ映画の大成功は、主に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入の多さに見ることができます。原作は人気マンガで、素晴らしいアニメーションで知られる制作会社によってアニメ化されたこの映画の製作費は1,600万ドル(20,8億円)です。
多くの映画ファンにとって、財布を圧迫されなければ、見る映画の予算がどんなであろうと関係ないかも知れませんが、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の予算は、ハリウッドの安価なカートゥーン映画と比較しても微々たるものです。
それでも、この作品はアニメ映画の代表作とされ、5億ドル(650億円)以上の興行収入を記録したことがその証拠となります。

『劇場版 呪術廻戦 0』は同様の予算(20億円程度)で2億ドル(260億円)近くを稼ぎ、『ONE PIECE FILM RED』はこの額を超えました。
皮肉なことに、歴史ある『ドラゴンボール』シリーズは、これらの作品に比べると弱かったのですが、2022年の映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は、前作の『ドラゴンボール超 ブロリー』(850万ドル(11億円)で製作)よりそれほど多いとは思えない予算で1億ドル(130億円)以上を稼ぎ、まだ健闘したほうです。
これらのアニメ映画とハリウッド・カートゥーン映画の最大の違いは、CGIの代わりに伝統的な(手書き)アニメーションを使用していることです。(手書き)アニメーションは一般的に日本の方が得意とするところです。



同様に、ハリウッドのカートゥーン映画の予算が高いのは、有名人を声優に起用していることが大きな理由です。この傾向は数十年前から始まっており、現在では専業の声優の代わりに、良く知られたハリウッド俳優がカートゥーン映画で主に起用されています。
これらの俳優のコストやそもそも起用される事自体に疑問があり、なぜかというと、これらのカートゥーン映画が主なターゲットとする子供たちを、彼らが魅了することはほとんどないからです。一方、日本にはアニメの声優という業界が丸々あり、有名な声優でもハリウッド俳優ほどギャラは高くありません。
しかし、これはアニメの悲しい現実を示すもので、これらの作品に携わる多くの人々(特にアニメーター自身)は、その仕事に対して十分な報酬を得ておらず、概して過重労働にさらされています。
これは、マンガやウェブトゥーン(韓国発のデジタルコミック、ウェブコミックの一種)制作にも言えることで、数百万ドル(数億円)規模の作品を支える才能ある人々が、しばしば不健康で貧困に近い状態に陥っているのです。

ピクサーやディズニーの映画には、より緻密なアニメーションが見られると指摘する人もいますが、これは間違いなく、さしたるものでもない事に大げさに騒ぐようなものでしょう。専門的なアニメーションは常にありがたいものですが、一般の映画ファンや一部の映画マニアさえも完全に見過ごしてしまうようなものでもあります。
このような技術革新には、お金を払う一般の人たちの関心は低く、よって、それがどれほど必要なことなのかについて疑問が残ります。確かに、アニメに比べればカートゥーン映画のフレームは見栄えが良く、滑らかですが、それらには、批評家ですら注目することはありません。
カートゥーン映画が注目を浴びるのは、よほどひどい陳腐なアニメーションであった場合のみです。

締めとして、ビジュアルスペクタクルと予算のバランスに関しては、全体的にアニメの方が良いアイデアを持っているようです。その一端は、アニメ業界のあまり魅力的でない給与のために予算が抑制されているというのもありますが、大部分で、ハリウッドの場合、逆にあまり儲からない方向に行きすぎているように見えます。
これはおそらく、欧米でカートゥーンが淘汰されつつあることの表れであり、一方、アニメはその範囲と収益を拡大する一方なのです。

 

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『劇場版 呪術廻戦 0』、『ONE PIECE FILM RED』、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』はまだdアニメストアU-NEXTで配信されていません
 
 
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引用元:アニメ映画の予算が明らかにするハリウッドの最大の問題点