SF要素を前面に押し出した『TRIGUN STAMPEDE』(トライガン スタンピード) | 海外の日本アニメについて

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新旧の顔ぶれを揃え、クラシックな宇宙西部劇を斬新にアレンジしたこの作品は、冒頭から未来的な世界観を明確にしています。



ーー 注意 ーー
以下、Crunchyrollで配信中の『TRIGUN STAMPEDE』第1話「NO MAN’S LAND」のネタバレを含みます。

最初にアニメ化された『TRIGUN』が放映されてから25年が経ちました。日本での放映からアメリカでの放映まで5年を要しましたが、『カウボーイビバップ』や『犬夜叉』などの名作と並んで、アニメを欧米の人々に浸透させた最初の作品の一つとなりました。
放送から四半世紀を経て、ヴァッシュ・ザ・スタンピードとその仲間たちが、新たに『TRIGUN STAMPEDE』として帰ってきました。しかし、今回は続編や前日譚、あるいはリメイク版ではなく、「宇宙」を第一に考えた「宇宙西部劇」として、完全なリブート版となっているようです。

『TRIGUN STAMPEDE』は、古風な酒場や砂漠の荒地から始まるのではなく、後に伝説のアウトローとなる少年ヴァッシュ・ザ・スタンピードの生い立ちから始まります。
ヴァッシュは、自分の故郷である宇宙船が破壊され、強制的に(脱出ポッドで)避難させられ、後にミリオンズ・ナイブズと呼ばれることになる兄のナイとともに難破宇宙船から生還しました。
数年後、若い記者メリル・ストライフと彼女の教育係の先輩は、スクープを求めて旅をしていたところ、偶然にヴァッシュと出会い、彼を取り巻く運命に巻き込まれていくことになります。
ヴァッシュはいまや「ヒューマノイド・タイフーン」と呼ばれるお尋ね者となっており、兄の捜索をしながら、捕まらないよう逃亡生活をしていました。

 

 
 

レガシー(前作アニメ)を探求するためのリブート



『TRIGUN STAMPEDE』は前作を踏襲しているものの、アニメを見た最初の瞬間から、前作とは全く異なる視聴体験となることが分かります。
90年代の『TRIGUN』は確かに未来的なアイデアを世界観やプロットの中心に据えてはいましたが、美学的にはマカロニ・ウェスタン(安い資本で作られたイタリア制作の西部劇)としてのインスピレーションに強く傾倒していることが多かったのです。

一方、『TRIGUN STAMPEDE』はほぼ逆で、荒涼とした辺境やゴーストタウンを過酷な舞台として上手く利用しながら、洒落たテクノ的武器や機械を、作品全体を通して少しずつ小出しに垂れ流すのではなく、最初から表に出して、同じく革新的なCGアニメーションとそれらを融合させています。

 

 
 

トライガンの斬新なデザイン



『TRIGUN STAMPEDE』の世界では、設定だけでなく、キャラクターも一新されています。特に、人気キャラクターのメリル・ストライフが、見た目もキャラクターコンセプトも一新されています。前作での保険金支払いに精通したベテラン保険調査員ではなく、ジャーナリズムの世界に飛び込んだばかりの新入りで、スクープでのブレイクを狙っているのがメリルです。

メリルのキャラクターデザインもこれに呼応して、元のデザインよりも若々しく、トレンディになりました。新しいメリルは仕事に関して確かに野心家ですが、今回の彼女とヴァッシュの出会いは、少し偶然な出来事となっています。クラシック版では、コメディータッチの追いかけっこで、これは旧版での最初の頃の話の特徴でもありました。

さらに、『TRIGUN STAMPEDE』のパイロット版には、旧版に登場したメリルの相棒は、どこにもいませんでした。旧版では、メリルに慕う、やや頭の弱い後輩の、ミリィ・トンプソンが同行していました。
旧版からさらに離れる形となりますが、『TRIGUN STAMPEDE』ではロベルト・デニーロを登場させました。彼は、ぶっきらぼうで、少し不機嫌なメリルの先輩で、彼女の指導・教育役を務めているようです。ロベルトはメリルにとって大事なバディのような存在であると同時に、凶悪なジュライ憲兵に対して銃を突きつけられても一歩も引かない度胸がある、白髪交じりの風貌をしています。



もちろん、本作の主役であるヴァッシュ・ザ・スタンピードも新しく生まれ変わりました。今回のリメイク版での、よりエレクトロに特化した雰囲気に合わせて、トレンチコートとハイライズヘアーをやめて、おしゃれなパーカーとcomb over fadeヘアーでモダンに仕上げています。
とはいえ、彼の象徴となっている性格はそのままで、風変り者とおどけ者の間を行き来しながら、クラスター爆弾を石ころ一個と弾丸一つで全て粉砕することができる男の真の重々しさを持っていながらも、これを慎重に隠しています。
しかし、彼は、まるで生きている自然災害のように描かれているかもしれませんが、困っている人がいれば、常に助けようとしているように見えます。特に死の危険が迫っているときに、それに立ち向かえるのが彼だけだった場合、必ずそうします。

『TRIGUN STAMPEDE』の全体的なプロットはまだ明らかにされていませんが、第1話で展開された、突飛とも思える出来事の数々の描かれ方を見れば、奇抜なハチャメチャさとハードボイルド・アクションのバランスがとれた冒険になりそうです。
しかし、これらの出来事は、ヴァッシュの大きな目標である、彼の兄を探すことの序章に過ぎません。第1話の最後では、彼の故郷であった宇宙船を破壊したのが、ほかならぬ兄、ミリオン・ナイブスであったことが明かされました。
この新作品では、クラシックなSFカウボーイアニメの完全な再構築として、エキサイティングな冒険物語が展開されるに違いありません。
 
 
 
 
 

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