今から2年半前、彼女は会社を退職しました。

その直前から彼女の体調が良くないことは

聞いていましたが、具体的な事は何も知りませんでした。


彼女は僕にこう言いました。

「私、パニック障害っていう病気で、電車とかが苦手なんだ」と。


パニック障害という名前自体は聞いたことがありましたが、

それが果たしてどのような病気なのかは全くわかりませんでした。


ただ、彼女が日々の通勤でかなり身を削っているということは

すぐにわかりました。

でも当時の彼氏がうつ病のために仕事に行けず、

収入もなく、二人の生計を彼女がすべて背負っていた状態を考えると

自分が会社を休むわけにもいかず、

さらに、自殺未遂をされた次の日も出社していたという話しを聞き、

「何て強い人なんだ…」と、ある意味ショックを受けました。


もし自分が同じような状況に立たされたとしたら、

果たして彼女のように強く生きられるだろうか、

公私を完全に切り離して割り切れるだろうか…


この時、僕は彼女に対して尊敬の念を抱き、

自分の弱さに気づかされました。


そして、それまでは明るく元気な彼女のことしか

知らなかったのに対して、

この時初めて彼女の闇の部分に触れた気がしました。


でも、僕の中で「もっと彼女のことを知りたい」という

気持ちが大きくなっていました。

それまでは、ともすれば表面的な部分しか見ていなかったのが、

彼女の奥に潜む本質的な部分を知りたい、

もっと彼女のことを深く知りたいと思うようになっていました。


「あなたが素直に

  弱さを出して寄りかかれる

   そんな存在に僕はなりたい




彼女には結婚を約束した彼氏がいました。

そして、僕の元にも「4月に結婚式を挙げるので出席してください」

という内容が書かれた年賀状が届いていました。

その時点で僕の彼女への想いは封印せざるを得ないと

覚悟していたのですが…

しかし1月の下旬になって、彼女から1通のメールが。

そこには「結婚式を延期することになりました」、と。


その詳しい事情を聞きたかったのですが、

なかなかメールでは聞けませんでした。


そこで思い切ってそのことについて彼女に聞いてみました。

すると、「彼氏がうつ病になって会社を辞めてしまったんだ」と

いうことを聞きました。

さらに彼女の口からは信じられない一言が…


「去年の9月に自殺未遂されたんだ…」


さらに彼女は自分自身のことについても、

隠すことなく全てを話してくれたのです…


「彼女の苦労を何も知らなかった

   自分が恥ずかしい

     空白の時間を埋めたい」





いろいろなことを彼女と話していく中で、

ちゃんと話せるかな…?などと考えていた僕の不安は、

いつの間にかどこかに消え去っていました。

そこには自分がびっくりするほど自然な気持ちで、

自分を飾るでもなく、まっすぐに彼女と向き合う

僕がいました。

そんな僕の心に共鳴するかのように、

彼女もありのままの自分で

僕と向き合ってくれました。

彼女は自分の病気のこと、

元彼との間に起こったさまざまなこと、

普通は隠したくなるようなことまで

全て僕に話してくれました。

それまでは会話らしい会話もなく、

さらには2年ぶりに会ったこの僕に対して…


「理由なんてない 

 ただ流れるままに

 ココロの赴くままに        

 すべてをさらけ出して」


彼女が話してくれた自分の経験は、

僕には想像もつかないような状況ばかりで、

言葉に出来ないほどとても大きな衝撃でした…