しょうまの視点① | kaiブログ

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6月、「総体」

これで、中学のサッカーが終わる。
去年秋の新人戦で、我がK中は地区大会3位に輝いた。今年はもちろん、地区大会優勝を狙っている。
部員数も多く、40人ほど。

周りからは強豪と見られ、
保護者の応援も熱い。

チームメイトにもこれ以上ないくらい恵まれ
みんな毎日毎日練習に明けくれている。
チームとしての力はどんどん上がってきていて、
俺達は最後の大会を最高の形で迎えることができた気がする。

総体の組み合わせが決まった。

俺達K中はもちろんシード。
2回戦からの戦いになる。

ウチと当たる1回戦の組み合わせは……

Y中と、M中。

勝った方とウチが当たる。

Y中………

kaiが、いる。








初めて見たのは
小4のサッカースクール。
違う支部なので同じチームではなかったが、
上級生に混じって駆け回っていた。
2つ上に兄貴がいるらしく、
これがまた上手かった。

6年生になった時、
サッカースクール内での「トレセン」チームが組まれ、同じチームになった。

紅白戦。
俺はいつものディフェンダーのポジション。
ボールを持ったkaiにあっさり抜かれ

追いかけても全く追いつけなかった。

それが悔しくて悔しくて悔しくて

俺はコーチにお願いした。

「あいつに負けたくない。どうしたら上手くなれるかもっと厳しく教えてください」

やがて
本人とも話すようになり
いろいろ聞いてみた。

お父さんが毎回送迎で来ていて
帰りの車の中で反省会をしている、と。

それから気にして見ていると
kaiのお父さんはいつも練習や試合を見ていて
合間に何か声をかけている。


俺も、自分の父親に頼んで
練習や試合の動画を撮ってもらうようにした。

もっと上手くなりたい。
もっともっと上手くなりたい。
負けたくない。

お父さんは毎回動画を撮ってくれた。
それを家で見返し
自分のプレーを確認して
何がいけないか
どうすれば上手くなるか
お父さんと話し合って
次の練習の時に試す。

それを何度も何度も繰り返し
自分でも上達している実感が出てきた。

それでも
なかなかkaiを止められなかった。
スピードが全然違う。
俺は足が速くないので
一度抜かれたら追いつけない。
だから抜かれないように
身体を当てて止めるようにした。

コーチや周りからは
「上手くなった」と褒められるようになった。
ある時初めてkaiのお父さんにも声をかけられた。
「すごくいいよ」って。


kaiは、友達ではあるけど
ライバルだ。
いい奴だけど、負けたくない。



それぞれ違う中学校に進み、
俺はもちろんサッカー部に入った。

情報はお父さんも俺も逐一集めていた。
誰がどの中学校にいて、
どのポジションをやっているか。

K中で入部したのは13人。
みんなサッカー経験者で上手い。
これなら、2年後俺達の代になった時
いいチームになりそうだと思った。

中学校もサッカー漬けの毎日。

大会があれば
他の中学校の戦績もかなり気になった。

特に、kaiがいるY中は。

3年生が引退する時期。
どこも新しいチームに代替わりする。

Y中のkaiは、10番を付けていると聞いた。
まだ1年のくせに。

あそこはウチと真逆で部員数が少なく
試合ではいつもカツカツの人数でやっているらしい。

だからだよ。

だから10番になれたんだよ。

実際、Y中の戦績は大したことがない。

初戦敗退とか、いっても2回戦とか。

人数が足りなくて10人とか9人で試合することもあるらしい。嘘みたいな話だ。

対してウチは人数が多いから
試合に出るためには競争だ。
競争があるからみんな練習も頑張るし
アピールもする。

皆、声もよく出すし
活気がある。

いいチームだ。

1つ上の代が引退し、
俺は満場一致でキャプテンに任命された。

そして去年秋の新人戦で地区3位
県大会でもそこそこやれた。

Y中は初戦敗退だった。

俺達は、次の大会ではもっと上を目指す。
保護者の大応援団のサポートもあり
チーム一丸となっていた。


つづく