4月12日、新国立劇場リハーサル室にて、「パーマ屋スミレ」の
顔合わせと読み合わせ稽古が行われました!
過酷な時代を力強く生き抜く一家を、笑いと涙を鏤め描く本作は、
2012年の初演時にチケット完売、
大絶賛された作品。
2016年、満を持しての再演。感動も新たに蘇ります。



 

微笑みのこぼれる和やかな雰囲気の中、スタッフのみなさん、
主演の須美役の果歩さんをはじめ、キャストのみなさんの自己紹介と挨拶が行われました。
芸術監督の宮田慶子さんのご挨拶では、鄭 義信作品の素晴らしさと、
日本の戦後と高度成長期を家族内に38度線と玄界灘が横たわるような
在日コリアン一家を通して見ることの感慨深さについて言及されていました。

 
台本の読み合わせ開始!
演出助手の方がト書きを読み、キャストのみなさんがセリフを読む…すさまじい臨場感!
部屋の端で聞かせて頂いていると、初読み合わせにも関わらずラジオドラマかと思うほどの完成度で、九州にあったというアリラン峠の世界に惹き込まれていきました。
(筆者の親戚は九州人なので、まるで遠い親戚の家をのぞいている心地にもなりました)

小休憩時には、作・演出の鄭 義信さんと果歩さんがお互いの故郷、兵庫、神戸について歓談され、キャストのみなさんも思い思いの場所で小休止。


読み合わせが再開されると、空気は一気に変わり、
怒涛のように事件が起こるクライマックスへ。
眠ってばかりな昼行燈のお父さんが、肝心なところで、肝になる言葉をかけて、
家族の柱となってくれていることに感嘆。
シリアスな事件が重なっても、時折こぼれるユーモアや切ない明るさが、
ほろ苦くあったかく、心に沁みてきます。
聞いているだけで登場人物が浮かび上がってくるかのような読み合わせでした。

誰よりも再演を熱望していた果歩さん。
今の自分にしか演じられない須美さんを創り出そうと燃えています
果歩さん曰く「北半球で一番しつこい演出家」、鄭 義信さんの稽古は毎日が闘いでもあります。

 
須美という女性の、まるでアリラン峠に健気に咲くスミレのような凛々しい生き方は、
混沌としてうつむきがちな今の時代に、ひとつの生き方のヒントとなるかもしれません。
ぜひお見逃しのないよう、チケットはお早目に!



パーマ屋スミレ 」鄭 義信 三部作 Vol.3
作・演出:鄭 義信

○新国立劇場小劇場(東京) 2016年5月17日(火)~6月5日(日)
先行発売2月27日(土)~ 一般発売3月13日(日)~
三部作の特別引き通し券発売中

○北九州芸術劇場 2016年6月11日(土)~12日(日)
一般発売3月27日(日)~

○兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール 2016年6月17日(金)~18日(土)
1回券は1月より順次発売予定

 

 

リハーサル室


 
スミレ色の台本


 



=鄭 義信 三部作Vol.3「パーマ屋スミレ」=

1960年代中頃、九州の炭鉱町、アリラン峠と呼ばれる小さな町には、
在日コリアンの須美と夫、その家族が励まし合ってたくましく生きている。
炭鉱夫が散髪する理容所を営んでいる須美の夢は、
いつか自分の名前から取った「パーマ屋スミレ」を開くこと。
須美の夫は炭鉱の事故でCO中毒にむしばまれ、
炭鉱産業も衰退の一途を辿り、一家に悲劇が襲いかかる。
そんな逆境の中でも須美は自分を奮いたたせるかのように言う。
“あたしは、いつでん明日はきっとええこつ待っとるっち信じとる”

 

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by あゆん