Nexmoke のまっさーさんからいただいたカンタル線やリビダブルアトマイザ等の部材を使って色々とテストし、自分なりの考察を行ったレポートです。
まっさーさん、部材の提供ありがとうございました。
また、ご報告が遅くなり申し訳ありませんでした。
さてレポートの趣旨ですが、リビダブルコイルの巻き方として近接のカンタル線同士を接触させてしまうと抵抗値はどうなるか?ということです。
まっさーさんご自身でもテストした結果をブログで報告されてますが、結論から言うと「接触した分、抵抗値は小さくなる」ということになります。
いただいたカンタル線の仕様ですが、
カンタルAF 直径 0.3mm 長さに対する抵抗率は19.66ohm/m=約0.02ohm/mm
まずはともあれ、カンタル線を巻いて抵抗値を測ってみました。
つまようじにグルグルと10turn、接触しないようにコイル状に巻いて抵抗値を測ると約2.0ohm程でした。
このコイルを伸ばして長さを測ると約100mm、抵抗率0.02ohm/mm×100mm=2ohm ですからつじつまはあっています。
10turnで2.0ohm、つまり1巻きあたり0.2ohm程度になりますね。
次に故意に接触させて同じ巻数10turnにすると、1.1~1.4ohm程度、バラつきがあるのは接触の具合による(例えばきっちり接触させたりゆるく触れたりと、状態の変化による)ものだと思われます。
これは、コイル導体による通常の電流路の他に、接触により隣り合ったカンタル線間に電流路が形成されたため、この2つの電流路により等価的に並列接続の抵抗回路ができたものと考えられます。
上図で実線が通常のコイル抵抗による電流路、破線が接触抵抗による電流路になります。
(本来、接触抵抗という用語は導通を阻害するというネガティブな意味で使われるので正しい使い方ではないかもしれませんが、ここではこれを接触抵抗と呼ぶことにします)
並列接続された(ように見える)接触抵抗:Rsは直接測定できませんので(結果的に合成抵抗を測ることになるため)、全体の抵抗(合成抵抗):Rと、非接触時のコイル抵抗:Rcから逆算してみます。
Rc=2.0ohm、R=1.1~1.4ohmでバラつきがあるのですが、代表値としてR=1.2ohmとすると、
接触抵抗:Rs=RcR/(Rc-R)=2.0×1.2/(2.0-1.2)=3.0ohm
となります。
つまり、コイル抵抗:Rc=2.0ohmと接触抵抗:Rs=3.0ohmの並列抵抗回路で、結果的に合成抵抗としてR=1.2ohmになっていると言えます。
同じコイルでも接触か非接触かによって抵抗値は変わりますが、接触させた結果としての合成抵抗が適切な値であれば、リビダブルコイルとしては問題なく使えると思います。
次に巻き方が不均一で、接触/非接触が混在する場合のコイルについて考えてみます。
全体10turnのうち、5turnが接触、5turnが非接触のコイルを巻いてみました。
見づらくて申し訳ありませんが、画像左側が接触、右側が非接触です。
この場合の抵抗回路は下記のように表すことができます。
左側接触部の合成抵抗:R1=0.6ohm程度、右側非接触部の抵抗:R2=1.0ohm、全体の抵抗:R=R1+R2=1.6ohmになりました。
ここでコイルに電流を流すためコイル両端に電圧をかけるのですが、R1にもR2にも同じ値の電流が流れます。
例として計算がしやすい電圧:E=3.2Vを印加したとします。
電流:I=E/R=3.2V/1.6ohm=2.0A
このI=2.0AがR1にもR2にも流れます。
それぞれの電力(つまり熱量)も計算してみますと、
R1での電力:P1=R1×I×I=0.6×2×2=2.4W
R2での電力:P2=R2×I×I=1.0×2×2=4.0W
電流値は同じなので、抵抗値に比例してこれが大きいR2側の電力が大きくなります。
よって接触部/非接触部が混在したコイルでは非接触部の電力が大きくなりこの部分に負担がかかることになります。
実際に非接触のコイルと接触/非接触混在のコイルに電圧を印加してコイルの状態を見てみました。
非接触10turnコイル R=2.0ohm 接触5turn/非接触5turn混在コイル R=1.6ohm
非接触の場合は均一に赤くなっているのに対し、接触/非接触混在の場合は右側の非接触部が赤く、というかもはやオレンジ色に発光しており、左側の接触部との差は歴然です。
コイルの一部が意図せず接触してしまうと非接触部に負担をかけ、焼き切れるとしたら非接触部になると思われます。
結論として、コイルを巻くときは接触させてもいいが、接触具合は均一にすることが大事だと思います。
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