●「タイポス」の新たな可能性 | サンロフトの本とテレビの部屋

●「タイポス」の新たな可能性

●「タイポス」の新たな可能性
地元新聞のラテ欄が、5月1日よりタイポス風のフォントに変更された。


タイポスは、明朝体のようなウロコの無い、ゴシック体のような書体である。

ひらがな・カタカナは、形がバラバラだから統一的なデザインは不可能と言われていたが、欧文書体のように形を単純化したのが画期的だったとされる。

ただ、私はその後の世代のため、タイポスには革新性より古臭さを感じた。


昨日、新聞を広げた時、また文字サイズが大きくなったと錯覚した。

それほどに、旧来の新聞明朝体よりタイポス風フォントは文字間・行間が空いて可視性が高まったのだ。

ただ、新聞のそれ以外の記事や、ラテ欄の番組解説欄が新聞明朝体のままなので、可視性は高いが、可読性は高くないわけだ。

新聞記事が縦組みなのに対し、ラテ欄は横組みという違いもある。


同紙を40年以上前から知っているが、本文に新聞明朝体以外のフォントが使われたのは初めてである。タイポスには縦・横の太さが異なるファミリーが存在するが、基本となるのは、明朝体のような縦が太く、横が細いものだ。

件のフォントもそれで、縦横の線の太さは従来の新聞明朝体にほぼ等しい。

「タイポス」風と言ったのは、ウロコが無いだけではなく、特にひらがな・カタカナの骨格がタイポスのように画一的だということ。そして、タイポス「風」と言ったのは、タイポスそのものよりは明朝体に近い柔らかい骨格だということだ。

これが新聞社の自社開発または特注なのか、フォントベンダーの既存フォントなのかは分からない。


新聞は、ふところの広い、新聞独自の新聞明朝体で組まれるという常識が、覆される日が近いのかもしれない。

そして、もはや古典と思われたタイポスに、まだ新たな可能性が秘められているのかもしれないと感じた。