●MII型の再評価と増設プラン | サンロフトの本とテレビの部屋

●MII型の再評価と増設プラン

●MII型の再評価と増設プラン
リビングとキッチンを分断する階段室は、MII型だけの個性である。否定的に語られることが多かったが、これらの写真を見ると案外魅力的に感じられる。図版は総合カタログ「ご紹介します。ミサワホームの企画住宅」(発行年不詳)より。



踊り場にある棚は、家族共有のライブラリ。そもそも、リビング階段は現代住宅の先取りである。


ただ、現代と決定的に違うのが、キッチンの配置。現代の巨大LDKは、システムキッチンの前に立った主婦が、LDK全体を見渡せるようになっている。

合理的な設計というより、キッチンから家族全員を見渡すために、1階がワンルームのLDKになり階段やサニタリーへの入り口までもそこに取り込んだのだと言える。だから、現代ではMII型のキッチンの配置はあり得ない。


階段は、踊り場までが8段。全体では14段のようだ。階段下が一段下がって、洗濯機置場兼勝手口になっているのは、後のSIII型によく似ている。勝手口と北面の突出は696mm。SIII型の690mmに近い。

踊り場は階段板と同じ厚みしか無いように見え、1段降りれば天井高は180cm程度取れそうだ。キッチンの入口の高さが約180cmとすると、天井高が高すぎる。ダイニング部分より大幅に高く見える。

2階ホール部分の床は、O型の特殊物入れ棚同様20cm程度の極薄なのではなかろうか? 玄関ホールの上(2階の収納の下)は高天井だが、2階ホールから玄関を見下ろせるようになっている。MIII型(下写真)と同じ作りだが、2階の床がもっと薄い。



MII型代表プランの38坪タイプのプランはこうだ。


今回、その増設プランの50坪タイプのプランが判明した。元の図があまりに不鮮明なため新たに作図した。他の増設プランも同様の拡張なので作図は割愛する。



 

階段室の奥に1間半張り出し、2階部分は勾配天井で屋根裏部屋のような空間になっている。

38坪タイプと違うのは、キッチンまわりだ。キッチンはDKになっている。8.25畳のDKは1970年代では十分な広さだった。ダイニングは吹き抜けで、キッチン上部のサービスルームから見下ろせるようである。なかなか魅力的な空間だ。

尚、2階トイレはオプションだが、2階洗面所の写真にも付いているので書いてみた。ダイニング上部の吹き抜けが勝手口側と開放されているのは、原文ママならぬ「原図ママ」。独立した吹き抜けだと思うのだが、階段の踊り場からダイニングを見下ろせるのかもしれない。

魅力的に見える増設プランだが、MIII型と比べると効率が悪い。1階こそ和室が1つ多いものの、7坪も広いとは思えない。

 

O型の48坪タイプと比べると、効率の悪さが際立つ。まぁ、増設部分の2階は屋根裏か吹き抜けにしかならないから仕方ないけど。