●ミサワホーム「O型」その2・代表プランの呪縛の始まり | サンロフトの本とテレビの部屋

●ミサワホーム「O型」その2・代表プランの呪縛の始まり

●ミサワホーム「O型」その2・代表プランの呪縛の始まり
まず、総合パンフレットから。OII型発売から間もない時期だったため、代わりにO型が載っていた。

パンフレットには他にSII型、A型平屋、A型2階建て、MII型、G型、フリーサイズ、fresh town(集合住宅)が載っているが、フリーサイズや集合住宅を除けば最初のモデルのO型が「いちばん進んだ家」なのが面白い。

O型といえば、この外観写真。代表プランの43坪東玄関タイプ。4ファサード(建物の4面すべてが正面)というが、玄関の面と南面の長さが4対3ぐらいに見える角度が、最も見栄えが良い。

南面の4つの窓、2階のフラワーボックス、対角線上に並ぶ玄関側の窓、玄関と2階ホールのガラス張り、玄関奥の2階のオーバーハング、そして越屋根。と、O型の外観デザインの要素がすべて写っているからだろう。

断面図の地下室ほどではないが、実例の少ない地下駐車場も目を引く。半地下にすればいいところを、駐車場は地上レベルにして、建物全体を持ち上げている。車が建物の下に入るというイメージではなく、建物の南側全体がピロティになっている。

1階テラスがバルコニーになり、リビングから直接庭へ出られないのは賛否両論あると思うが、平地に建つ普通のO型に比べ未来的に見えた。


「プレハブ住宅の研究」から、O型の外観写真。どこか違和感があるが、その理由は最小の35坪タイプだからである。「鉄骨系」と書かれているが「木質系」だ。

43坪タイプと一見同じだが、玄関奥の1階和室の窓の左右も各3尺から1.5尺になっている。また、南面の窓の間隔が1間から0.75間に、奥の窓の奥が3尺から1.5尺になっている。南面の窓の間隔が3尺ではないのは不思議だが、2階奥のオーバーハングを含めて見ると、2階がほぼ左右対称になって見栄えが良いのである。

リビング+ダイニングが8畳+8畳から8畳+6畳になっているため、6畳の中央に窓を配置したと見れば、構造的にもこの方が良さそうだ。


O型以前の「ホームコア」のマイナーチェンジと思われるA型平屋、S型、SII型にも、広さの異なるバリエーションはあったし、代表プランもあった。しかし、その変化の仕方は、部屋数の増減や8畳が6畳になる等、外観からも分かりやすいものだった。

一方、O型から始まる初期GOMASは、広さが違っても外観デザインが統一されている。プラン上も一部例外はあるが部屋数がそのままで、広さが変わっていく。S型等に比べ、そこに無理を感じる。

6畳基本で4畳半も普通だった1976年当時の住宅事情を思えば、35坪タイプを選ぶのは異常ではないかもしれない。しかし、2階ホールが2階北側の2部屋とほとんど同じスペースを食っている等、ちぐはぐさを感じざるを得ない。かなり後になって改良されていくのだが、連載のかなり先に書くことになるだろう。


「図説 日本の「間取り」」から、もう一つのO型の外観写真。総合パンフレットの写真ほどではないが、O型の写真として時々使われる。屋根が寄棟ではなく切妻だが、切妻の実例は少なくない。

 

注目すべきはフラワーボックス。他ではまったく見たことがないデザインだ。これは試作型なのか? 試作にしては製品版と違いがなさすぎる。強いて言えば、越屋根の下の小窓(または換気扇?)ぐらい。

思い入れが強いモデルだけに、資料が少ないわりになかなか先へ進まない。

 

 

余談だが、OII型と思われる実例を発見。以前ならありふれているのでスルーしたが、先日書いた小屋裏収納の梯子が写っている。

関連ページ サンロクマルベース株式会社『2012年06月26日 ミサワホームのO型』