●旧友は遠き安行へと旅立った | サンロフトの本とテレビの部屋

●旧友は遠き安行へと旅立った

●旧友は遠き安行へと旅立った
NHK BSプレミアム『新日本風土記』「埼玉 武蔵野 みどりの国」の再放送を観た。川口市は近年の盆栽ブームで注目されているが、私が小学生だった1970年代にはそんな話は聞いたことが無かった。まぁ、小学生と盆栽は、接点の無い組み合わせか。

件の番組に、懐かしい地名が出てきた。「安行」(あんぎょう)。それが川口市にあることも、そこで盆栽が作られていることも知らなかった。


私の「安行」のイメージは、埼玉県奥地。緑豊かでカブトムシだかクワガタだかがよく採れる地域である。わが二軒長屋の斜め後ろの長屋に住んでいた、私の最初の友人の一人。彼がよく虫採りに行っていたところだ。

彼とは別の幼稚園になったせいもあり、徐々に疎遠になった。小学校の通学班は一緒だったものの、なぜか一度も同じクラスにはならず、毎朝、二、三の雑談をするだけの関係になっていった。虫採りの件も、その時に聞いたと思う。

通学班は、当初男子だけで十数人もの大集団で、列が長くなりすぎるため2列になった時期さえあった。しかし、小3か小4で減少に転じ、小5では数人の小班になっていた。

小5の終わりが近づき、その友人が4月から安行へ転校すると知った。そこに親戚がいるらしかった。彼は虫採りを楽しみにしていた。付き合いは浅くなっていたが、寂しくなるな、と思った。新年度になり新1年生が2人加わったが、我々6年生2人と4年生1人という小班には違いなかった。以来、彼がどうなったかは知らない。


件の番組を観て、安行が川口市だと知ったわけだが、川口市は草加市と接する近隣。当時、大人たちも「緑が多い」と言っていたが、住宅地の真ん中ではないのか? 気になってGoogleマップで見てみたら、盆栽の生産地らしく、今でも緑が多い。

小学生にとって、歩いて行けない距離は、遠い。日本の中ではすぐ隣でも、縁が切れるには十分な距離。学校が分かれて校区が変わるだけでも、縁が切れてしまうのだからな。