●『カウントダウンLIVE アニソンベスト100!』 | サンロフトの本とテレビの部屋

●『カウントダウンLIVE アニソンベスト100!』

●『カウントダウンLIVE アニソンベスト100!』
土曜夜、NHK-BSプレミアムで放送された。ランキングがガチだったのが良い。ゲストに呼んだ岩崎良美の『タッチ』がランクインしなかったのはまだしも、水木一郎が1曲も無しとは大番狂わせ。挙句の果てにはケンコバが、出演するはずだった清水富美加に呼びかけるという生放送ならでは展開。後半の豪華カラオケ大会にも満足した。

 

近年の曲が多くて驚いたが、それで良い。中高年ウケの懐メロ番組じゃ先細りだ。公式サイトで101~300位までも載っているが、ここまで広げてもおなじみの曲がほとんど入っていない。水木一郎が番組中に挙げた曲たちも、『タッチ』も無い。やはり、単発の企画では限界がある。毎週、『アニソン・アカデミー』を聴くべし。

 

関連ページ NHKオンライン『ニッポンアニメ100』

 

●『龍の歯医者』
上記番組の中間に挟まれて放送された新作アニメ。『エヴァンゲリオン』再放送枠内で何週にも渡ってメイキングが流れていたので、力の入れようがうかがえる。冒頭の艦隊戦は、宇宙と海上との違いこそあれヤマト2202を数段上回る迫力だった。

 

で、龍の歯医者の話になっていくのだが、特異な世界観の説明が延々と続き、これはいったい何の話? という気分になった。ファンタジーでは避けがたいが、アニメの映像表現の進化と心情描写の深化にともなって、この問題は増大する一方だ。日常が描かれるだけで、目的がいっこうに見えてこない。しかし、ラストに至って、そんなモヤモヤは吹き飛んだ。こういう展開なら、面白いじゃないか!

 

●『就活家族』
家族の崩壊と再生を描いたドラマは、すべからく『岸辺のアルバム』に似てくる。円満に見える家族も実はバラバラで、互いに知らない顔を持っている。それが明らかになることで家族は崩壊するが、やがて再生していく。どの家族にも多かれ少なかれ当てはまる普遍的な物語が、最初に作られた『岸辺のアルバム』で全部出尽くしているからだ。そこに、就職難という現代の世相を加味したのが本作である。家族構成やエピソードも『岸辺のアルバム』と似通っているし、秘密が次々バレていくので緊迫感も意外性も薄い。

 

日本の脚本家の中で最高の天才は、『岸辺のアルバム』の山田太一だと思う。現代まで続く多くの物語のひな形を作ったからだ。ダメな人たちが集まって大きなことを成し遂げる話は『高原へいらっしゃい』が元祖。トップアイドルがすべてを捨てて一般人になる『墓場の島』(男たちの旅路シリーズ)は、近未来の現実(キャンディーズ解散)を予言した。彼の1970年代のドラマを観ていると、ドラマって案外進化していないなぁ、と思う。