●『時をかける少女』 | サンロフトの本とテレビの部屋

●『時をかける少女』

●『時をかける少女』
キー局から1週間遅れで始まった。これまで、原田知世版、内田有紀版、アニメ版、仲里依紗版等を観てきたので、正直あまり期待していなかった。過去の作品との差別化で妙な味付けがされるのは世の常だからである。


冒頭の謎のシーンの後、グダグタした日常が描かれていく。やっちまったかな、と思った途端、この20分以上が丸ごと前フリだったと分かり、驚かされた。その後の怒涛の展開は見事なものだ。アニメ版以降、タイムリープ(タイムトリップ)ものにはスピード感が不可欠になったと感じる。


気になったのはオープニングのタイトルバック。砂浜に並べられた数々のアイテムをカメラが移動しながら撮っていく。これは、『その時、ハートは盗まれた』とまったく同じ手法。第2話はまだ観ていないが、各話ごとにアイテムが替われば確信犯。でも、あの時はエンディングだったから深く感動したのであって、本編の先に流れたら意味ないのでは?


思えば、『その時、ハートは盗まれた』はフジテレビの『ボクたちのドラマシリーズ』の第2作。佳作揃いのシリーズで、松雪泰子版『白鳥麗子でございます!』は今なお傑作として語り継がれるほどだ。この中に、内田有紀版の『時をかける少女』もあり、これがまた良い出来だったのだ。


●『西遊記』
BSスカパーで第1話が放送された。1978年の堺正章版である。リアルタイムで観ていたが、まるっきり忘れたので観てみた。非常に優れた第1話だと感じた。現代ではこれだけ濃密なストーリーを1時間で見せるのは不可能だろう。説明過多でダイジェストという感じがするからだ。


当時は、アニメ版やドリフによる人形劇版の『西遊記』も放送されており、子供たちにはよく知られた物語だった。それゆえ、通常省かれるプロローグを丁寧に描いたのだろう。後の唐沢寿明版や香取慎吾版はここまで詳細ではない。それにしてもミスターかくし芸・堺正章。第1話にして如意棒を扱うテクニックが凄い。


セットや特撮がオモチャなのは時代ゆえに仕方ないが、2クールで10億円という制作費が凄い。この4年前のドラマ版『日本沈没』でも2クール5億円だったのだから空前のスケール。まあ、今の価値でいえば30億円以上だろう。