●最後に“t”が残った…… | サンロフトの本とテレビの部屋

●最後に“t”が残った……

●最後に“t”が残った……
ひと月以上前から制作中の欧文フォントが、一つの壁にぶつかった。未だ紙の上での試行錯誤の段階である。


FontoGrapherでトレース後微調整で済むぐらいまで、紙上で完成度を高めようという考えだ。ベジェ曲線はポイントを移動させるだけでカーブをふくらませたりしぼませたりできるが、そんな安易な修正を繰り返すうちに曲線の美しさは死んでしまう。曲線が滑らかゆえに、気づきにくい失敗だ。


ラフスケッチを経てクリーンアップの決定稿。しかし、何文字か修正が必要となる。一度決まった線を消して描き直すのは難しい。カーブを少しふくらませるだけで、半円ぶんぐらい描き換えになるし、文字全体を描き直す場合もある。それが2度、3度、4度に及ぶ文字もある。


欧文書体は難しい。我々の母国語はラテン文字圏ではないので、中国人の描く仮名文字みたいになっているかもしれない。彼らの和文フォントは漢字が極めて美しい場合が多いので、仮名の完成度の低さが際立ってしまう。


アルファベットは仮名にくらべ統一的な形状をしていると思われがちだが、タイプフェイスデザイナーが統一的に見せているだけで、実はばらつきが多い。しかも、書体によって例外的な形になる文字が異なる。


今回のフォントでは、小文字の「t」がそうだ。元々、tだけ文字高が中途半端だし、Xハイトの位置に横棒がある特異な形状をしている。それ以外にも問題のある文字がいくつもあったが1つずつクリアし、これだけが残ってしまった。厄介だ。が、明日には簡単な解決策が見つかるかもしれない。