●遅れてやってきた東芝PCの時代 | サンロフトの本とテレビの部屋

●遅れてやってきた東芝PCの時代

●遅れてやってきた東芝PCの時代
東芝ほどNECにしてやられたパソコンメーカーは無い。PC-8001に対抗したPASOPIAは、同価格でグラフィック機能を搭載。T-BASICとOA-BASICの2タイプあって、PASCALまで使えた。本体に合体する小型液晶ディスプレイをわずか4万円でオプション設定する等、優れたモデルだった。しかし、PC-8801の高スペックの前にかすんでしまった。


で、PC-8801に対抗したPASOPIA 7は、Z80A/4MHzノーウェイトの高速性、PSG音源6和音、タイリングながら27色表示。コンパクトな筐体で値段も安かった。しかし、市販ソフトの充実が成否を分ける時代に入り、再び敗退。8ビットはMSXのPASOPIA IQへと転進した。
16ビット機PASOPIA 16はPC-9801と同じ1982年10月発売で、グラフィック機能やFDDの容量(5インチ2Dと2DDの違い)で上回るも、敗退。主に海外市場でIBM PC互換機を売ることになる。


時は流れ、ノートパソコンの元祖DynaBookをヒットさせるが、すぐにPC-9801N(98ノート)に逆転。東芝の「ブック型」は廃れ、NECの「ノート型」がこのジャンルの代名詞になる。こうした屈辱の歴史は、富士通以上だろう。Windows時代に入ってもNECのシェアは崩せず、今日に至る。NECも富士通もSONYも東芝もどこのPCを買っても同じなのだ。そう、シェアが大きく変化するきっかけは無くなった。……と最近まで思われていた。


タブレットの台頭とWindows 8で激動の時代に入ったと、以前書いた。その時は、ハイブリッド型を中心にPCが変革していくという程度の認識だった。しかし、今回の東芝2013年春モデルPCは、NECとは明らかに違うベクトルである。NECがスペック低下に向かったのに対し、東芝は高機能化、タッチパネルのさらなる普及へ舵を切った。PCメーカーが再び個性化の時代に入る前ぶれかもしれない。


重装備A4ノートや、PCにタッチパネルという折衷UIは時代遅れとしたNECが正しいか、スペック志向かつWindows 8を活かす東芝が正しいか、結果は近いうちに出るだろう。私は、またNECの読みが当たっていると思うが、買うなら東芝だな。で、ここでNECのシェアが減るぶん、東芝が躍進すると予想し、↑のタイトルをつけてみた。


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