【パソコン歴史浪漫】77 ●PC-9801シリーズ最高の買い得機は? その2 | サンロフトの本とテレビの部屋

【パソコン歴史浪漫】77 ●PC-9801シリーズ最高の買い得機は? その2

【パソコン歴史浪漫】77 ●PC-9801シリーズ最高の買い得機は? その2


1985年7月発売のPC-9801VM2は、98アーキテクチャの基準となる記念碑的モデルだった。これにより初代/E/F/M/Uは互換性で苦悩することになるが、処理能力の不足を感じる頃までは対応ソフトが出ていた。この中では初代PC-9801だけ飛びぬけて不利で、初めての廉価版16ビット、BASIC(テキスト画面)で漢字が扱える等の新規性を味わう以外、良いことは少なかったといえる。
PC-9801VM2と同時に、若干スペックを削った5インチ2DDのPC-9801VF2も登場したが、企業用廉価モデルというより「5インチ2DDを切り捨てない」というメッセージだった。つまり、買うべきではないモデルだ。外付け8インチFDDを想定したPC-9801VM0も出たが、スリムなPC-9801Eとは違いVM2から内蔵FDD2基を取り除いた巨大な筐体だった。


この世代ではPC-9801VM2がベストチョイスだが、シリーズ全体の中ではそうとも言えない。そもそも、登場にまったく驚きが無かった。先行のPC-9801U2でV30やアナログRGBが登場していたからだ。現代のPCと違って、当時の新型には何らかの新しさが期待された。それが無い以上、我々にとっては「つまらないマシン」でしかなかった。
尚、HDD内蔵モデルPC-9801VM4はFDD2基になった。PC-9801F3/M3の時代まではHDD無しでもFDD1基のみのモデルが珍しくなかった。HDDは未だ高価で、対応ソフトも限られていた。


1986年10月発売のPC-9801VX2も、ある意味予想通りのモデルだった。CPUが80286になるのは誰もが知っていた。PC-9801F2が39万8000円、PC-9801M2とVM2が41万5000円なので、定価は40万円前後。ただ、登場時期が夏か秋か年明けかだけが気がかりだった。やや予想外だったのが、やや割高な定価43万3000円ぐらいである。これで、PC-9801VM2は一気に非力なマシンへと転落した。
外付け8インチFDDを想定したPC-9801VX0とHDD内蔵のPC-9801VX4はVMと同様。HDD普及の時代は目前だが、69万3000円で20MバイトHDD内蔵とはまだまだ高い。後からサードパーティ製外付けHDDを買い足すのが現実的だろう。ほぼすべての市販ソフトがFDDのみで動作したため、HDDを買う動機はまだ小さい。


同時に、NEC初の16ビットラップトップPC-98LT、PC-9801VM2のマイナーチェンジモデルPC-9801VM21(39万8000円)、PC-98XAの後継モデルPC-98XLが登場。ただし、資料によってバラつきがあり、正確には同時発表ではなかった可能性もある。私は、先行のPC-9801UV2を加えた5モデルの新聞広告で新型4モデルを知った。


8ビットのハンドヘルドコンピュータが総じて低速だったのに比べ、PC-98LTはPC-9801VM2並に高速だったと思われる。PC-9801シリーズとはほぼ互換性が無いものの、用途によっては買い得といえた。
PC-98XAはPC-9801U2と同時に登場したハイレゾモード専用80286マシン。本体もディスプレイも非常に高価で専用ソフトも少なく、PC-100のような先進性も無い。極めて限られた用途以外、買うべきではないマシンだった。後継モデルのPC-98XLは、PC-9801(ノーマルモード)とXA両互換で、VXの約15万円高(ディスプレイ込みでは約20万円高)。20万円で最高速のPC-9801とハイレゾモードが手に入ると考えれば安いが、実際に買うとなると難しい値段だ。
PC-9801VM21は、V30を切り捨てないというNECのメッセージ以外に存在価値は無い。割安感も無く、選択する意味が分からない。


やはり、ここでも主力モデルPC-9801VX2が買い得。主力モデルが80386に移行した後も、80286は長い間使われ続ける。VMと1年少々の違いで製品寿命は2~3年は長い。このモデル、私自身登場前から購入を決めていたのだがスペックを見てなんとなく納得できず、見送った経緯がある。当時は「つまらないマシン」と映ったが、後のシリーズ展開を知った後では間違いなくシリーズ1、2を争う買い得モデルだったと思える。