【パソコン狂時代】85 ●PC-9801大転換! PC-98XA、PC-9801U2 | サンロフトの本とテレビの部屋

【パソコン狂時代】85 ●PC-9801大転換! PC-98XA、PC-9801U2

【パソコン狂時代】85 ●PC-9801大転換! PC-98XA、PC-9801U2


1985年7月、長い長いPC-9801全盛期の基本となるPC-9801VM2が発売された。後の時代から振り返れば磐石の構えと思えるが、この時期のPC-9801シリーズは初代と同じくらい冒険的であった。それを語るには、少し遡らなければならない。


1985年5月、「PC-98XA」(ピーシー・キューハチ・エックスエー)が発売された。後にPC-88VAが出るが、この時点では異質な製品名だった。「PC-98XA」の「XA」のロゴがボーダー柄である。
PC-98XAは、FDD、HDDが違う3グレード。モデル名はPC-8801系に近いが独特である。
PC-98XA mode1 1(FDDオプション、20MバイトHDD内蔵可)57万5000円
PC-98XA mode1 2(5インチ2DD/2HD FDD 2基)69万5000円
PC-98XA mode1 3(5インチ2DD/2HD FDD 1基、20MバイトHDD)130万5000円
model 2はPC-9801M2(41万5000円)より28万円も高価である。


CPU 80286/約8MHz、80287/8MHz(オプション9万円)。ROM 48Kバイト。JIS第1、2水準漢字ROM標準装備、拡張漢字ROM(388字/オプション1万2000円)。RAM 512Kバイト(最大768Kバイト)、RAMファイルとして使用時は最大7.5Mバイト。テキストVRAM 12Kバイト。GRAM 512Kバイト。
拡張スロット 4スロット(model 3は3スロット)、「I/O拡張ユニットPC-98XA11」15万円により7スロット増設可。マウスインターフェース装備。
グラフィック 1120×750ドット(VRAM上は1120×936ドット)4096色中16色。テキスト 80×25行固定、8色。24ドットの漢字ROMを搭載し、画面は精細な明朝体表示である。GRAMはPC-100と同じ512Kバイトだが、表示能力は数段高まった。
FDDは、NECで初めて、5インチ2DDの読み書きと2Dの読み取りが可能な2HDを搭載。ようやくライバルに追いついた。


BASIC ROMを搭載しないNEC初の純粋なDOSマシンだ。MS-DOS V2.0、V3.1、コンカレントCP/M(9万円)が使えるが、いずれも別売り。事実上MS-DOSマシンなので、これはいただけない。
また、PC-98XA発売時には旧バージョンの「日本語MS-DOS V2.0」3万円(MS-DOS版N88-BASIC(86)、ファイルコンバータ含む)しかなく、V3.1は発売予定であった。
キーボードはPC-9801E/F/Mを踏襲するが、ファンクションキー5個追加、「HOME CLR」が分離され、「HOME」が十字配置カーソルキーの中央に配置された。


まことにパワフルなスペックだが、PC-98XAには致命的な欠点があった。PC-9801シリーズと互換性が無いことだ。
MS-DOS版N88-BASIC(86)では画面まわり以外互換性があったが、MS-DOS版のそれはPC-9801シリーズであまり使われていなかった。
BASICがほぼ同じというだけで、PC-8801と互換性ありと言ってのけた初代PC-9801の時代とは事情が違う。PC-9801用ソフトがまったく使えないのに、イメージだけで買ってはくれまい。


後に、PC-9801互換モード(ノーマルモード)とPC-98XA互換モード(ハイレゾモード)を備えたモデルが登場しハイレゾモードのみのモデルは消えるが、初めからそうすべきだった。
だが、それが失敗の本質ではないだろう。PC-9801シリーズは80286、80386と高性能化していくが、ハイレゾモード(PC-98Hシリーズ)が普及する気配はなかった。理由は簡単。理不尽に高価だったからだ。付け加えるなら、表示文字数が増えるわけでも色数が増えるわけでもなく、綺麗さ以外のメリットが無かったのである。


ディスプレイは超々高解像度のPC-98XA専用モデルが用意された。
「14インチモノクロディスプレイN5921」9万円。回転台付。ノングレア処理、グリーン16階調濃淡表示。
「14インチカラーディスプレイN5923」23万5000円。回転台付。ノングレア処理、4096色中16色。ドットピッチ0.26mm。
型番から分かるとおり、N5200系ディスプレイと共通の筐体を持つ。後に、同じ筐体で640×400ドット用のモデルも登場する。


当時、電波新聞社の月刊OAパソコン/OA情報別冊「PC-98XA解体新書 次世代機98XAのすべて!」1800円という本を買ったが、PC-98XA自体を買う気にはならなかった。実機はこの年の福井OAショーで見たっきり、どこでも見かけることはなかった。PC-100に比べるとインパクトは小さく、あまり魅力を感じなかった。
今(1985年)、80286、1120×750ドット、5インチFDD&HDDというスペックでPC-100が出ていたなら……、と思わずにいられない。



PC-98XAと同時に発売されたのが「PC-9801U2」29万8000円だ(一部資料では6月発売)。
「PC-9801U2」の「U」のロゴが、PC-98XAの「XA」同様ボーダー柄になった。これは何年か続くことになる。
特徴は、3.5インチ2DD FDD 2基内蔵。まだ3.5インチ2HDが無かったのかもしれないが、FDのサイズも容量もまるで統一する気が無い。5インチと3.5インチの2HDは、8インチ2D互換でインターフェースも共通。ここで2DDを排除できなかったことが、後々頭痛の種となる。
ただ、NECもFDD規格林立の問題を十分自覚していた。PC-9801M2発売時には5インチ2HD版ソフトを集めたアプリケーションカタログを出したし、PC-9801U2発売時にも3.5インチ2DD版ソフトのカタログを出している(こっちはたった4ページだが)。


カタログは1枚もの1種のみ。表に「行動派、ビジネス創世機。」と大きく書かれ、本体とプラズマディスプレイのセットが写っている(右下に、普通のディスプレイとセットのPC-9801U2の写真あり)。
ノートパソコンどころかラップトップ・コンピュータも珍しい時代。非力なハンドヘルドより、フルスペックの16ビットパソコンを小型化した方が使えるという発想だろう。
事実、PC-9801U2は、398(W)×335(D)×87(H)mm、5.6kgと、サイズ・重量ともPC-9801F/Mの半分近い。一見PC-9801E/F/Mと同じキーボードも幅35mm、重量400g小型軽量化され、435(W)×180(D)×34(H)mm、1.2kg。


セットとなるのは、液晶ディスプレイではなかった。ハンドヘルドではおなじみの液晶だが、内蔵・外付けを含め640×400ドットの大型タイプは無かったと思う。無論、カラー液晶はまだ存在せず、モノクロ液晶は可視性が悪かった。
プラズマディスプレイは、漆黒のバックに明るいオレンジ色の表示で可視性が高かった。さらに、液晶より容易にカラー化が可能だと当時は言われていた。
「プラズマディスプレイN5915」19万8000円。ネオンオレンジ。入力信号 デジタルRGBセパレート信号方式。水平走査周波数 24.83KHz。640×400ドット。ディスプレイケーブル付属。350(W)×287(H)×50(H)mm(折りたたみ時)、3kg。
昔のアンバーイエロー・ディスプレイより赤っぽい発色だが、哀愁があり美しかった。
しかし、この製品にはべらぼうな値段以外に大きな欠点があった。それは、一般的なデジタルRGB接続にも関わらず、PC-9801U2専用(後継機モデルPC-9801UV2にも対応)だったことだ。


CPU μPD70116/約8MHz。これは、1984年3月、NECが8088互換V20と共に出した8086互換V30である。カタログに「V30」の記載は無く、8086とソフト的に互換性があり実行速度が速くなっていると書かれているだけだ。
ROM N88-BASIC(86)及びモニタ96Kバイト。JIS第1、2水準漢字ROM内蔵。
RAM 128Kバイト(最大640Kバイト)。テキストVRAM 12Kバイト。GRAM 96Kバイト(16色グラフィックボードPC-9801U-02/2万円 実装時128Kバイト)。
拡張スロット 2スロット(I/O拡張ユニットで5スロット増設可)。マウスインターフェース装備。


PC-8801mkIISR同様、アナログRGB&デジタルRGBに対応(ディスプレイも同機種用が使用可)。アナログRGBディスプレイ接続時には、640×400ドット4096色中8色(16色グラフィックボード実装時 4096色中8色)。テキストは8色。
ここでも、頭の痛い問題が発生した。PC-9801E/F/Mで96Kバイト→192KバイトになったGRAMが再び初代と同じに減らされたのだ。動作しないソフトが続出したという。


欠点の多いPC-9801U2だが、PC-9801シリーズ初の廉価モデルゆえ買い得感は高かった。29万8000円は、同じFDD2基内蔵のPC-8801mkIISR model 30(25万8000円)、X1turbo model30(27万8000円)とほとんど差がない。
うちの学校では、情報技術科・電子科担当以外の先生が買った。


以下、気になるオプションをいくつか。
「サウンドボードPC-9801U-03」2万円は、FM音源3和音+SSG音源3和音。「ミュージックジェネレータボードPC-9801-14」2万8000円(4オクターブ8和音)も使用できた。
「キャリングケースPC-9801U-05」1万8000円は、PC-9801U2本体、キーボード、プラズマディスプレイが収納できた。


1985年10月に出た1枚もの新版カタログでは、表中央に普通のディスプレイとのセットが、右下にプラズマディスプレイとのセットが写っている。さすがにプラズマをメインにしたのは無理があったようだ。U系はPC-9801の持ち運び用モデルとしては定着せず、ホビー路線へ傾倒していくことになる。