【パソコン狂時代】73 ●プリンタ黎明期 EPSON編 | サンロフトの本とテレビの部屋

【パソコン狂時代】73 ●プリンタ黎明期 EPSON編

【パソコン狂時代】73 ●プリンタ黎明期 EPSON編


1980年10月に発売されたパソコン用プリンタ「MP-80」は、10インチ9ピンドットインパクトプリンタの原型ではなかろうか?
ただ、私のパソコン歴では各メーカー製品の前後関係が不明なため、これに先行したものがあるのかもしれない。少なくとも、エプソンプリンタの基礎になった製品という位置づけは間違っていないだろう。
尚、当時のエプソンカタログには作成年月が書かれていないものが多い。発売時期不明な場合は表記しない。


MP-80には、「MP-80 TYPE1(スーパービジネスプリンタ)」12万9000円と「MP-80 TYPE2(スーパービットイメージプリンタ)」14万2000円があった。活字式じゃないドットインパクト方式にも関わらず、TYPE 1は文字しか打てなかった。TYPE2にはNEC PC-8001専用モデル14万5000円と日立ベーシックマスター・レベル3専用モデル15万5000円もあった。
「MP-80 F/T TYPE1」13万9000円、「MP-80 F/T TYPE2」15万2000円(PC-8001専用モデル15万5000円)という派生モデルもあった。


当時は「トラクタフィード」といって、用紙の左右にルーズリーフのような穴が空いていた。その穴に歯車のようなものを入れ、用紙を送った。用紙は連続紙で1ページ毎にミシン目が入っていて、互い違いに折られていた。この用紙を「ファンフォールド紙」という。
それに対し、「フリクションフィード」(F/T)は現在のプリンタのように穴の無い用紙を送るメカニズムである。F/Tモデルは、無論トラクタフィードも可能だ。カット紙の連続自動給紙がまだ無いので、プログラムリスト印字等には連続紙が必要不可欠であった。


「MP-82」14万9000円は、「ハイギヤードメカ採用による本格派プロッタプリンタ」である。しかし、ボールペン式ではく普通のドットインパクトだ。1行あたり576または1152ドットの高精度(MP-80 TYPE2は480または960ドット)。ヘッド送りピッチと紙送りピッチ比が1対1で、正円が印字できた。当時は、こんなことが凄かったのだ。
PC-8001専用モデルが15万2000円、カシオFX-9000P専用モデルが15万5000円。尚、MP-82にF/Tモデルは存在しない。
MP-80シリーズ、MP-82は、各10インチ幅で印字速度80字/秒。


「MP-100」19万2000円は、MP-80 F/T TYPE2の136桁16インチ幅版だ。印字速度100字/秒。
「MP-130」22万8000円は、MP-100の上位版。連続紙の背面給紙も可能だが、カット紙に関する記載無く、F/T無しかもしれない。印字速度135字/秒。


以上までが1981年10月現在の製品ラインアップ。各発売時期は不明。価格も当時のもので、発売時はさらに高価だった可能性もある。
「MP-80K」18万9000円は、この時の新型。パソコン用初の漢字プリンタと思われる。MP-80 TYPE2をベースにJIS第1水準漢字ROMを載せたもの。16×16ドットではなく14×18ドットなのは、ヘッド送りピッチと紙送りピッチ比が1対1ではないからだ。印字速度は英数字パイカ80字/秒だが、漢字は18.75字/秒。


それから約1年後、1982年11月の総合カタログでは、MP-80シリーズのTYPE2がTYPE3にマイナーチェンジされている。スーパー/サブスクリプト文字、強調文字、アンダーライン機能等が追加され、以後EPSONの標準プリンタコマンド体系となる「ESC/P」が搭載されている。その他の機能や印字速度はTYPE2と同じだ。尚、TYPE1シリーズは販売が続けられていた。
「MP-80III」13万9800円(「TYPE3」は「III」と表記)には、PC-8001専用モデル14万2800円とPC-8801専用モデル14万3800円があった。
「MP-80III F/T」14万9800円は、「MP-80III」のカット紙対応版。PC-8001専用モデル15
万2800円とPC-8801専用モデル15万3800円があった。
「MP-100III」18万9800円は、「MP-100」のマイナーチェンジ機。PC-8001専用モデル19万2800円とPC-8801専用モデル19万3800円の他、ソードM20/23専用モデル19万3800円があった。
「MP-130K」51万円(JIS第1水準漢字)、55万円(JIS第1、2水準漢字)は、「MP-130」と同型の筐体だが、エンジン部分は異なる。24ピン180dpiの超高精細。印字速度も通常文字110字/秒、漢字37字/秒と高速だ。背面給紙に関する記述は無く、代わりにカット紙に対応(フリクションフィード)。
さすがプリンタのトップメーカーだけあり、常にNECに一歩進んでいた。


さらに約半年後、1983年4月の総合カタログでは、主力モデルMP-80シリーズがモデルチェンジされている。
従来のMP-80の筐体を受け継いだ「RP-80」8万9800円は、「MP-80III」のマイナーチェンジ機で印字速度が100字/秒にアップしたが、一気に5万円も値下げされたことにインパクトがあった。
「FP-80」14万9800円は、一回り大きな筐体に重量も1.5倍(5kg→7.5kg)。160字/秒の高速印字に加え、紙送り速度も1.5倍になった。モデル名に「F/T」は入っていないが、カット紙(フリクションフィード)に対応している。PC-8001専用モデル15万2800円とPC-8801/9801専用モデル15万3800円があった。
その後、「RP-80F/T」10万4000円と、「FP-100」18万9800円(PC-8001専用モデル19万2800円とPC-8001mkII/-8801/9801専用モデル19万3800円あり)が追加された。
1983年10月頃、「PR-100」(価格不詳)も追加された。RP-80F/Tの16インチ版でイタリックと国際文字も搭載。


「RP-80II」7万9000円、「RP-80F/T II」8万9000円は、「RP-80」と同スペックだが、EPSON QC-10、10II、HC-20、NEC PCシリーズ、TOSHIBAパソピアシリーズ、SHARP X1シリーズの各純正プリンタの互換モードを備えた(ディップスイッチで切り替え)。


1984年12月頃、それにJIS第1水準漢字ROMを搭載した「RP-80II K」11万9000円、「RP-80F/T II K」12万9000円が追加される。漢字は14×18ドットである。印字速度は100字/秒、漢字は15字/秒だ。NEC PCシリーズモードではPC-8822互換となるが、あちらは16×16ドットなのでアプリによっては不都合がありそうだ。
「RP-80F/T II」と「RP-80F/T II K」用オプションに「カットシートフィーダ」3万8000円が登場。現在では当たり前の、カット紙の連続自動給紙が実現した。通常9万円前後するので、破格であった。
「FP-80K」18万9800円(PC-8001専用モデル19万2800円とPC-8001mkII/-8801専用モデル19万3800円あり)も追加された。漢字は14×18ドット。価格は「FP-80」と同一だ。


カラープリンタ「JP-80」15万8000円は、4色リボンを使ったドットインパクトタイプ。
カラープロッタプリンタ「HI-80」8万4000円は、4本ペン式だが、水性ボールペン、水性ファイバーペン、油性ファイバーペンが各10色用意されていた。また、オプションで漢字ROM(800字)があった。
「UP-130K」29万円(JIS第1水準漢字)、31万円(JIS第1、2水準漢字)は、「MP-130K」のマイナーチェンジ機。NEC PC-PR201に対抗して大幅値下げされた。印字速度200字/秒、漢字45字/秒だ。PCシリーズ対応モデルはそれぞれ29万8000円と31万8000円だった。
1984年12月頃発売の「IP-130K」49万円(JIS第1水準漢字)、51万円(JIS第1、2水準漢字)は、漢字70字/秒の超高速印字のインクジェット(黒単色)プリンタだ。重量はUP-130Kより4Kg重い18Kg。


私が最初に買ったプリンタは、RP-80F/T IIである。オーディオ片山二の宮店で、展示品処分を買った。5万円少々だったと思う。買った時期ははっきりしないが、高2だろう。高3直前の春休みに後継モデル「SP-80」が出たのを覚えている。1年下の下級生にRP-80IIユーザーがいた。
うちの高校では、プリンタユーザーはほとんどいなかった。現代のような写真印刷は無い(カラープリンタ自体少ない)し、FDDが無ければワープロソフトも使えず(カセット版も一応あったが)、プログラムリストの印字ぐらいしか用途が無かったからだろう。


この連載、画像がまったく無いのも寂しいので、PC-8801のデモプログラム「シェルピンスキー曲線」(右)に手を加え、RP-80F/T IIで印字したものを貼ってみる。


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