【パソコン狂時代】62 ●高級16ビット!! 福井OAショー1983 前編 | サンロフトの本とテレビの部屋

【パソコン狂時代】62 ●高級16ビット!! 福井OAショー1983 前編

【パソコン狂時代】62 ●高級16ビット!! 福井OAショー1983 前編


この年の『'83福井オフィスオートメーションショー』がいつ開催されたのか、定かでない。去年と同じなら9月中旬だろう。手元にあるビジネス用高級16ビットパソコンのカタログは、そこでもらったに違いない。


パソコンショップ店頭での「売り切り」ではなく、メーカー代理店によるメンテナンスサービスを前提としたのが、オフコンであり高級16ビットパソコンだった。
現代でも、企業向けPCにそうしたサービスが残っているが、PC自体は個人向けと同じものだ。NECでは企業向け専用筐体のモデルがあるものの、たいていの製品は個人向けPCから付加機能やプレインストールソフトを削除しただけである。
周辺機器では、プリンタや複合機で「企業向け=高級」という図式が成り立っているが、企業向けPCに高級というイメージは皆無だ。
個人では手が出ないようなハイエンドマシンだったからこそ、当時の企業向けパソコンには魅力があったといえる。


OAショーの内容は記憶に無いが、今回と次回はブースを巡回する要領で仮想OAショーと行こう。さて、前半5社だ。



《ナショナル》
1982年7月頃発売の「mybrain3000」は、最新カタログにまだラインアップされていた。
黒・グレー・うぐいす色・モスグリーンの配色がミリタリーテイストである。8088(クロック周波数非公開)、640×400ドットモノクロ、320×200ドット8色と、発売当時ですら時代遅れの仕様だった。
「mybrain」には、740M、800M、850Mの新モデルが追加されている。


1983年5月頃発売の新型「Operate7000」は、独自16ビットCPU MN1613(クロック周波数非公開)2基で、640×480ドット8色。「mybrain」同様、カタログには詳しいスペックの記載が無く、事実上オフコンである。


尚、JR-300のミステリーについては、回を改めて。



《日立》
1982年発売の「ベーシックマスター16000」は、8088(クロック周波数非公開)、RAM 128Kバイト/256Kバイト(モデルによる)、最大384Kバイト。VRAM 192Kバイト。640×400ドット8色。
純粋なMS-DOSマシンで、GW-BASIC搭載。実は、IBM-PC互換機だった。1年経った今でも十分先進的なマシンといえる。
ステップスカルプチャーの薄型キーボードに、5インチFDD2基内蔵のタワー型筐体の組み合わせで、洗練されたデザインだ。
普通、タワー型は間口が狭くて奥行きが深いものだが、これは横長。前面パネルが斜めになり、A4サイズのペーパーホルダーとなった。


尚、今年の新型は「B16」だが、手元には1984年の「B16/EX」と1985年の「B16/MX」しかない。性能はともかく、ベーシックマスター16000に比べると平凡な筐体になり、カリスマ性は失われた。



《東芝》
1982年11月頃発売の「PASOPIA 16」がまだ現役。
CPU 8088-2/6MHz、RAM 192Kバイト(最大512Kバイト)。VRAM テキスト用4Kバイト、モノクログラフィックカード(128Kバイト)。オプションでカラーグラフィックカード(256Kバイト)と拡張グラフィックカード(128Kバイト)があった。640×500ドット8色(カラーグラフィックカード時)、256色中8色(拡張グラフィックカード時)。
PC-9801F2を先取りする5インチ2DD FDDを内蔵し、日本語MS-DOSマシンでもあった。しかし、せっかくの高解像度カラーグラフィックがオプションで、割高感も強かった。



《沖電気》
1980年5月、if800 model 10,20が発売された。12インチディスプレイ、5インチFDD2基、10インチドットインパクトプリンタを内蔵し、Z80A/4MHz、RAM 64Kバイト、640×200ドット8色という、1~2年後の高級8ビットを先取りする超高機能パソコンだった(model 10はプリンタのみ一体型)。これで、148万円!!
1981年末頃追加された、model30は、Z80B/5MHzに128K RAM、640×400ドット8色、漢字ROM、漢字プリンタ、8インチFDD2基という重装備(58Kg!!)で、DISK BASICをやめCP/M(漢字対応)マシンとなった。後のPC-9801並である。


1983年4月のmodel50は、従来どおりの一体型に見えるが、キーボードがセパレートで薄型。本体前部のプリンタ(24ドット10インチ/16インチ漢字プリンタ)も実は本体と分離されている。if800伝統の12インチディスプレイ&FDDは、首の部分(支柱)を取って、直接本体の上にも置ける。
8086/8MHz。RAM 256Kバイト(最大1Mバイト)、VRAM 384Kバイト(カラー)、128Kバイト(グリーン)。640×475ドット8色。8インチFDD2基(model 50Hは8インチFDD1基+10MバイトHDD)。重量は38.5Kg(たぶんプリンタ、キーボードを除く)。
大幅にカスタマイズされた漢字MS-DOSと、漢字BASIC(GW-BASICを拡張)を搭載。


性能では常にPC-9801シリーズを上回ってきたが、値段と巨大すぎる筐体に祟られた。


関連ページ  コンピュータ博物館『f800』



《日本IBM》
カタログの豪華さに驚く。紙製タトウに入れられた7部構成のカタログは、他に類を見ない分厚い紙。おまけに丸い5550うちわまでもらった。
「IBMマルチステーション5550」は、キューブに近いタワーに3連FDDが印象的な筐体。
ディスプレイの違いで3モデルあった。モノクロ12インチ(5555-A01)、カラー14インチ(5555-C01)、モノクロ15インチ(5555-B01)。A01、C01が16ドットフォント、B01が24ドットフォントである。
モノクロはグリーンまたはイエロー。アンバー・イエロー(オレンジ)ではなく、本当の黄色だ。


CPU 8086/8MHz、ROM 16Kバイト、RAM 256Kバイト(最大512Kバイト)、VRAM 144Kバイト(16ドット)、256Kバイト(24ドット)。
解像度はモードによって異なる。キャラクターモード 738×525ドット(16ドット)、1066×725ドット(24ドット)。グラフィックモード 720×512ドット(16ドット)、1024×768ドット(24ドット)。
カラーは、テキストモード8色、グラフィックモード4色。


キーボードはバカでかく、Windows PCでおなじみのフルキー上の4連×3ブロックのファンクションキーは2段で24キー(全てに機能が書かれている)。フルキー左にも2連×5段=10の機能キー。全124キーもあった。しかも、スピーカーまで内蔵されている。


24ドットの日本語表示も異例だし、フォントパターンがFDベースなのも異例。だが、漢字ROM(漢字フォントカード)もオプション提供されていた。24ドット版8万5000円はいいとしても、16ドット版7万5000円は相場の倍額だ。
日本語DOS(いわゆるMS-DOS)で、日本語ワープロ、表計算MULTIPLAN、さらにDOS用ソフトが多数揃っていた。
後のNEC PC-98XAに始まる「ハイレゾモード」の先取りだ。カラーでPC-9801等を少し上回る解像度か、モノクロで超高解像度かの2択は、我々ホビーユーザーの感覚では悩ましい。カラーを捨てても24ドットモデルを選びたいところだ。


システム価格は138万円~227万2000円。いやはや、高価だ。
PC-9801等の一般向けパソコンは、サードパーティ製品も含めて安価で自由なシステムが組めるが、メンテナンスサービス付きではそうもいかない。