『テレビジョン・クライシス 視聴率・デジタル化・公共圏』 | サンロフトの本とテレビの部屋

『テレビジョン・クライシス 視聴率・デジタル化・公共圏』

『テレビジョン・クライシス 視聴率・デジタル化・公共圏』水島久光著/せりか書房/2100円


3、4年前から、テレビ終末論が雨後のたけのこのように、あちこちから出てきた。そう、地デジ開始、そしてB-CAS&コピーワンスの導入が、「雨」に相当する。
「テレビがつまらなくなった」、「娯楽が増えてテレビの地位が下がった」等、色々言われるが、この本では、“メディア・コンタクト”というキーワードから、メディアとしてのテレビについて論じられている。


簡単にいえば、茶の間で家族揃ってテレビを観る「家庭」は崩壊し、その「家庭」を前提とした視聴率調査やCMモデルもまた、崩壊したということだ。もちろん、単純な観念論ではなく、しつこいほど詳細に書かれている。
瞬間視聴率ランキングの嘘(分かるのは分刻み視聴率であって、誰が映った時とは分からない)等、雑学もちりばめられている。
まさに、視聴率狂想曲。視聴率という魔物がテレビをダメにしている現実がある。
逆に言えば、今日のCMモデルを視聴率によらないシステムに転換しさえすれば、テレビはまだまだ延命可能とも取れる。それは、この本が、それ以外の問題点についてほとんど触れていないからだろう。


テレビ終末論も出揃ったことだし、そろそろ反論が出てもいい頃だ。単行本でもオピニオン誌でもいっこうに見かけないと思ったが、当事者たるテレビ番組で、連日、地デジ移行によるバラ色の未来が語られていた……。