後悔を活かす心理学
――成長と成功を導く意思決定と対処法
「第一に、何らかの行動をしたために生じた今現在の状態と、その何らかの行動をすることを決める前の状態を比較し、その行動をしなければよかったと感じたとき(中略)第二に、自分が選択して得られた現在の結果よりも、他の選択をしたほうがよりよい結果が生じた場合(あるいはよりよい結果が生じたのではないかと感じたとき)、つまり現状に何ら問題はなかったとしても、『あっちを選んでおけばもっとよかったのではないか』と感じられる」(P25)時に抱く感情が後悔であるという。
どちらにしても、今の結果に対して、ああしておけばよかったな、という残念な気持ちである。
後悔という言葉のイメージにはどの方角から見てもネガティブな印象しかなく、できれば避けて通りたい。
それが後悔である。
しかし、本書の前半は、この後悔という感情について、様々な文献や、データから考える。
後悔は、人間に本然的に備わった、強い感情だからこそ、これを活用する術があるのではないかということである。
すなわち、未来において後悔したくない、という思いがあるからこそ、今をよりよく生きる強い動機になる。
逆に、実際に後悔をするようなことが起きてしまったとしても、次に同じ失敗を繰り返さないために自分を見つめ直す機会になるのだ。
また、将来の後悔を回避したい(予期後悔)という思いは強い感情であり、論理的思考との橋渡しをするという。
なるほど後悔という感情を利用するというようなしたたかな思考は、自分の中に眠る武器を用いるような豊かな生き方であるなあと感心した。
さて、後半は、具体的に後悔しないためにはどのような方法があるかということに論が進む。
様々な心理学的アプローチ、学生等を対象にした調査結果、また著者自身の赤裸々な体験談などを元に語られていくのだけど、興味深い話もたくさん出てきて飛びつきたくなるのだが、根拠が薄いというか、これはあなたの感想ですよね?とちょっと距離を置かざるを得なかった。
いいことが書いてある。けど、本書の後半は蛇足だったと思う。
でも、後悔という感情に真正面から取り組んでいろいろ考えるいいきっかけにはなった。
後悔という感情を自覚し、後悔しない生き方を目指すことで、人生を開く強い生き方をしたい、そう思った。