デフォー「ロビンソン・クルーソー」2-5終 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。

 

P421-524終


ロードムービーも海の旅から、陸の旅へ。
視点が移動する物語は、一緒に旅をしているような気持ちになって、現実世界では旅行など全くしない僕にも、旅はいいなあという気分にさせる。


上巻も含めると1000ページ超という長きにわたってロビンソン・クルーソー氏とつきあってきた。
彼は、好奇心が旺盛な冒険家であり、機知に富んだ有能な旅人でもある。
世界に雄飛しようとしていたイギリス人の気宇壮大さを感じる反面、彼らの驕りや傲慢さも垣間見える。


陸の旅では、行く先々で様々な民族と接点を持つが、敬虔なキリスト教徒であるロビンソン・クルーソーは、非キリスト教徒をおしなべて蛮民として取扱う。
ある異教徒の村では、偶像崇拝を行う土着信仰が定着していたが、ロビンソン・クルーソーの一行は夜中に村に忍び込んで偶像を燃やしてしまう。


キリストの教えを至上のものとして信仰し、行動するその姿勢は別にいいと思う。
しかし、彼らが拠り所としていたのは、精神的なものではなく、技術革新によってもたらされた武力に過ぎず、力の物差しでのみ文明の発展度を測るその幼稚な横暴さに対してむかむかすることも度々あった。
当時のイギリス人は、その思想を、その行動を是とし、信じて疑わなかったのだろうか。
彼らの合理性とその信念が、19世紀から20世紀にかけての大英帝国繁栄の淵源にあったのだろうかと想いを馳せる。


ただ、絶海の孤島から同行した友人としては、途中からけんかになりそうなくらい鼻持ちならなかった。
君たちは蛮民と呼んでいる彼らと比べてそんなに偉いのか。
銃火器が少し発達しているだけじゃないか。