小泉武夫「醤油・味噌・酢はすごい」 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。


「醤油・味噌・酢はすごい」


中公新書を刊行順に読んでいるが、こういうタイトルとぶつかると、自分で恣意的に選んだとしたら絶対に手に取らない本だろうなあと思いながら、期待する反面、不安もある。
ただ、中公新書は信用しているレーベルなので、未知の世界への扉を開いてくれそうな飛躍感があり、それこそレーベルに依存して無差別に本を読んでいく醍醐味であろうかと思う。


では目次。
「醤油の話」「味噌の話」「酢の話」


端的に言えば、醤油・味噌・酢にまつわる歴史、製品の作り方、文化に及ぼした影響、地域ごとに発展した特色のある製品等についての話である。
非常に興味深く読んだ。
生まれた時から身近にある調味料であり、ほぼ毎日どれかを口に入れているにも関わらず、はじめて知ったことが多かった。
酢は発酵食品だと言われて、薄ぼんやりと、言われてみればそうだなあという程度の感覚。
どんなに距離が近くても、関心が向かないと、なんにもわからないものだという気づきがあった。


本書は、中公新書には珍しく、著者のテンションが異様に高い。
そういう熱量の高さは、逆にノイズにしかならないなあと注意しながら読んでいたが、読了後の感想は確かに「醤油・味噌・酢はすごい」と賛嘆したいような気分だった。
醤油の項では、鮭からできた醤油の話しを聞いて、ちょっと高かったけどアマゾンで購入してみたり、味噌の項では、豆味噌というのが力強い味でおいしいというのを読んでアマゾンで購入してみたり、いやいや、酢はさすがに、普段使わないし、いらないから!と思っていたのだが、1本くらい持っておくのが紳士のたしなみのような気がしてきて、現在、鋭意調査中である。


今日も、味噌汁をズズズとすすりながら、日本人に生まれた喜びを思った。
身近なものに感謝するきっかけになる、大変よい本だと思う。


醤油・味噌・酢はすごい - 三大発酵調味料と日本人 (中公新書)/中央公論新社
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