第十二歌(P371-392終)
上巻読了。
30代も後半になって、戦争物語にこんなに夢中になるものだろうか。
三国志を読んで、敵をなぎ倒して進む、関羽や張飛の豪傑伝に無邪気に喜んでいた小学生時代を思い出した。
2000年以上前の表現とリアリティに引きづられて読み終わった。
必ずしも読みやすいわけではないのだけれども、読み終わった後の、爽快感と熱狂と。
単純だけれども、力強く、素朴で、簡潔。
下巻も楽しみである。
「豪勇ポリュポイテスは、ダマソスめがけて槍を投げ、青銅の頬当のある兜を貫いたが、青銅造りの兜も支えきれず、青銅の穂先はずぶりと刺さって骨を砕き、脳髄はことごとく兜の内に散乱した」(P380)
「イリアス」は、死の描写が重ねて重ねて描かれているが、2000年以上前にも、戦争にはロマンよりも、現実の凄惨さが前に出ていたのかもしれない。
第二次世界大戦終結から70年を経た今と同じような空気もあったのだろうか。
歴史は繰り返す、というよりも、人類は進歩していかなくてはならないなあと思った。
単純な感情論で、戦争反対、と言っていればいい、というものでもないなあと、ちょっと場違いな感想など。