皆さま、福岡市の不動産売買と資金計画の専門家、鹿子島寿徳です。

 

 

 

最近、私の記事は建物関連の記事が多いですね。せっかく注文住宅のジャンルに引っ越したので、

今日は「在来軸組工法」を深堀りします。



在来軸組工法(木造軸組工法)は、日本で古くから用いられてきた伝統的な工法をベースに、現代の耐震基準や技術を取り入れて進化した工法です。

​主に骨組みをどのように接合し、水平力(地震や風)にどう対抗するかという点でいくつかの種類や技術が採用されています。
 
​①骨組みの接合方法による分類
​木造軸組工法の基本は、柱(垂直材)と梁(水平材)を組み合わせて建物の骨組みを構成することです。この柱と梁の接合部(仕口・継手)のつくり方が進化しています。
・ 伝統的な「仕口・継手」工法
​昔ながらの工法で、木材を複雑な形状に加工し、金物を極力使わずに木と木を組み合わせて接合する手法です。
​特徴→ 職人の熟練した技術が必要とされ、木の粘り強さを活かします。しかし、接合部の木材が大きく欠損するため、地震時の強度に不安が残る場合がありました。
 



・「金物工法(補強金物工法)」
​伝統的な仕口・継手に加え、ホールダウン金物や帯金物などの補強金物を用いて接合強度を高める工法です。
​特徴→1995年の阪神・淡路大震災以降、接合部の強度規定が厳しくなり、現在ではほぼすべての在来工法で採用されています。柱の引き抜きを防ぐために基礎と柱を緊結する金物などが使われます。
 
​・「集成材・専用金物工法(木質ラーメン構造など)」
​柱と梁を接合する部分に、専用の特殊な接合金物を用いる工法です。
​特徴→木材の断面欠損を最小限に抑えることができ、高い強度を確保できます。
​接合強度が高いため、耐力壁(筋交いや構造用合板)の配置に頼らず、柱と梁だけでも地震に強い構造を作ることが可能です。大空間や大きな窓を設計したい場合に有効です。
 
​②水平力への対抗方法による分類
​在来軸組工法は「線(柱と梁)」で支える工法のため、横方向の力(地震力・風圧)に対抗するための「耐力要素」が必要です。主に以下の2つの方法が用いられ、現在では両方を併用することが一般的です。
 
・「筋交い」による工法
​柱と梁で構成された枠の中に、木材を斜め(タスキ状)に入れて補強する方法です。
​特徴: 古くから用いられてきた手法で、コストを抑えやすいですが、大きな窓や開口部を取りにくい場合があります。
 
​・「構造用面材」による工法
​柱と梁の枠の外面または内面に、構造用合板やOSB合板などの強度の高い面材を釘で貼り付け、全体を「面」として固める方法です。
​特徴→面全体で力を受け止めるため、高い耐震性と気密性を確保しやすいです。
​耐力壁の位置や種類に自由度が生まれやすく、設計の自由度を保ちながら高い耐震等級(耐震等級3など)を実現しやすい、現代の主流な方法です。
 
​③その他の技術的進化
​在来軸組工法は、上記の骨組みの接合や耐力要素の進化に加え、以下の技術によって現代の高性能住宅に対応しています。
​プレカット工法の採用
​かつては現場で大工が木材を加工していましたが、現在は工場でコンピュータ制御により高精度に加工する「プレカット」が一般的です。
​効果→現場での作業が軽減され、工期の短縮、コストダウン、そして品質の均一化が実現しました。職人の技能による品質のばらつきが抑えられます。
 
​高性能木材の採用
​無垢材に加え、強度や寸法安定性に優れた集成材(複数のひき板を接着したもの)が主要構造材として採用されることが増えています。これにより、木材の反りやねじれが少なくなり、設計通りの強度を出しやすくなります。
​これらの進化により、在来軸組工法は伝統的な「間取りの自由度」や「リフォームのしやすさ」といったメリットを保ちつつ、耐震性、気密・断熱性、耐久性といった性能面を大幅に向上させています。
 
 
 
いかがでしたでしょうか?
在来軸組工法もパズルみたいに組み立てるだけでなく、構造用合板を使ったり、金物で連結したりと技術は日々進化しています。
メーカーさんの建築中の現場見学などは勉強になりたのしいですよ。
私が過去にいたハウスメーカーでは「プレカット工場見学」等、当時としてはユニークな見学会をしていましたよ。
 


 
 
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