「じゃあ、がくせーはがくせーどうしということで」

「おいっ、ちょっとまつんじゃ。

承太郎は女の子なんじゃぞ」

とあるシンガポールのホテルの受付前。

観光地として有名なマーライオンの国である。

その中で有名な観光地の中でも一番のランクが高い

高級ホテルにジョ―スター一行と家出少女は

今日の宿泊先としてこのホテルに泊まることが

決めたのである。

ここで特筆すべき場所はこの奇妙な一行の人員だ。

イギリス人の男性1名、アラブ系男性1名、

フランス人の男性1名。

日本人男性1名、日中系少女1名・・・・

それとイギリス人と日本人のハーフの

少年・・・いや少女である。

この少女はこの物語の主人公、

またはヒロインの空条承太郎である。

何故、少女

(実際の年齢でいえば女性と言ってもいい年頃だが)

であるのに男性名であるのか?

それは彼女の家の問題にかかわることである。

彼女の両親は

ジョ―スター家の一人娘のホリィ・ジョ―スター

空条家の一人息子空条貞夫。

双方とも長年続いてきた名家であり格式高い伝統が

息づいてきた家系である。

ここで定番のあととりの問題が発生するわけである

ジョ―スター家のほうは

跡取り問題はまーいいんじゃないの。男でも女でも。

という考えであったが、

空条家のほうがどうしても男を産んでほしい。

という昔ながらの伝統を持ち出してきたわけである。

そして生まれたのは

玉のように愛らしい女の子だったため。

どうして男じゃなかったなどの絶弾はない代わりに

跡取りとして女でありながら

男として育てられてきたわけである。

それでも、彼女自身の気質に合っていたのか、

短くふわふわとした癖っ毛の黒髪

、舌ったらずの俺呼び

淡く色づいた唇。

と言うようになかなかの美少年に育っていった。

見た目だけでなくその行動さえも男らしく

いじめられている小さな女の子を

見つけたらすぐさまこぶしで話をつけ

泣いていたらハンカチを差し出すなど

まさに小さなナイトのような姿で

女でありながら女の子にもてた

。そのため女の子に騒がれると

「うっとおしい!」と怒ってしまうのだ。

とここまではまではよかった。

幼稚園の中では身長が高かったが。

高校生になると

当然第二成長期がやってきて

体が女性に近づき身長も伸び

よく目にする黒髪

ロングのチェーンの付いた個性的な学ランをはおり

ロングスカートをはき、

あの特徴的な帽子をかぶった女番長空条承子に

ギガ進化するはず・・・。だったのが。

身長は150センチ台で成長は止まり

胸のサイズもつつましやかなAサイズ

で成長は止まり変動する気はないようだ。

そんな彼女もそろそろ女の子らしくしなくては

本来の女性としての幸せを

手にいられないのではないのかという声があり

高校入学と一緒に教育方針を

約90度変えられたわけである。

承太郎としてはたまったもんじゃない。

今まで家の都合で男として育ててきたくせに

また家の都合で女としての

教育を受けるなどいくらなんでも勝手すぎる。

という葛藤から逆の姿に。

つまりはさらに男らしく自分を変えていった。

自らが改造した大きなチェーンがついた改造学ランをはおり、

ぴったりとしたスラックスをはき、

目深にかぶれるようにサイズの大きな帽子。

だが、身長は150センチ台、慎ましい胸。

この二つのせいで彼女を知らないものは

彼女を中学生ぐらいの

男の子が間違って高校に来てしまったのかと思うほど

小さい。

それでも彼女の与える威圧感は

本職のヤの付く自由業の

方々をたじろかせるほどの力があった。

それはそうだろう。

彼女はその人格整形を作る

最初のコミュ二ティである家に裏切られたのだから。

さてそんな彼女だが。

ジョ―スター家の運命に巻き込まれ、

母親であるホリィ・ジョ―スター

の命を救うために打倒DIOの旅に出ている。

そして、ハイエロファント・グリーン、タワー・オブ・グレイ、

シルバー・チャリオッツ、

ダーク・ブルームーン、ストレングスを撃破。

し、やっとの事でまともな宿に泊まれるというところで

冒頭の会話にさかのぼるわけである。

承太郎は女性であるということを前提に考え

このパーティを見直すと

彼女と家出少女のアンの2名だけが女性であるわけだが。

がくせーはがくせー同士と言うことでという故事付けで同室を

希望したのは同世代の男性である。

ここまで書けばラブロマンスかラブコメを

期待するべきところなのだが

声をかけてきた彼はDIOからの最初の刺客であり、

言葉の端々に何処となく漂う胡散臭さが否めない。

それで言えば、

もう一人DIOから送られてきた刺客だった

フランス人がいるが非常にあっけからんとして

隠し事は苦手そうなたちであるから

まだ操られているのかもしれないと

いう疑いはかけにくい。

その彼からの誘いを彼女の祖父は

女の子と男の子は一緒の部屋はダメです。

男はオオカミなんです―。

と理由で突っぱねている。

やれやれ・・・。もう少し疑るべきじゃあねぇのか。

だが、ある意味相手にも自分にもチャンスだ。

ここでボロを出せば黒だし、ここで何もなければ白だ。

だがしかし、同室と言うことは狭い部屋での戦闘と

いつ仕掛けてくるかもしれない敵の懐に

自ら飛びこんでいっているというものだ。

別に嫌ってるわけじゃあない。

仲間と言うからには確かな確証が欲しいだけだ。

実際に彼・・・花京院典明は

タワー・オブ・グレイを撃破した張本人であるが

それでも行動の不自然さは否めない。

命を助けたのは確かで

自分の弱さを乗り越えなくてはいけないという

考えはわかる。

だが、なぜわざわざ人妻である自分の母を

口説くのもわからない。

DIOの命令でわざわざ殺しに来て

肉の眼を抜いただけで

全部アレは肉の眼の仕業で殺しに

来ただけなんですと

いうのは都合がよすぎる。

と言うような多少の不信感が承太郎の中で

頭をもたげていた。

実際戦いの中でも狡猾さと回転の良さは

評価するに値するのだが、それが裏切るのにも

使えるのかもしれないと自分でこう思うこと自体が

ひどいと思っているのだが

そう思わずに入れなかった。

ならば自分の考えが勝手なおもいこみだと

自意識過剰な考えだと理解しなければいけない。

それならば

「俺はいいぜ。がくせーがはくせー同士で

いろいろと話したいことがあるからな」

と了承し、まだぶつぶつと文句を言い続ける

祖父から部屋のキーを奪い

部屋に向かった。


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


部屋に着くとさすが高級ホテル。

オーシャンビューで眺めもよく大きなベットは

二人でも大丈夫そうなほどに大きい。

ぼぅっと海を見つめていると

ぎゅっと手首を何かで縛られる。

何かと考えなくてもわかるハイエロファント・グリーン

の触手だ。

スタープラチナを発現させる間もなくつかまってしまった。

疑ってるやつの前で油断させるためとはいえ

後ろを見せるのは得策じゃあなかった。












つづく・・・か?