真冬だというのに物好きにも公園に繰り出すのは、家でむーちゃんが受験勉強しており、邪魔をしないためだ。
滅多に誰も来ないさびれた砂場。
落ち葉や枯葉が多いそこは、アト君のお気に入りの場所だ。
アトくんはもう砂場で遊ぶ年齢でもないのだが、山や城のようなものを作るのが好きなので、邪魔者のいないここでじっくり創作に向き合うのだ。
「今日は何作る?」
「落とし穴作りたい!」
「いいけど…お父さんも今のアトくんくらいの頃に一度作ったことがあるだけだから、うまくいくかわからないよ?」
「うん!」
「あと、こんな誰もこない公園でも、万が一誰かが落ちたら困るから、作ったあと最後に壊していくよ?」
「うん!」
アトくんにしても誰かをはめたいわけではなく、落とし穴というものに興味があるだけなのだ。
こうして二人で落とし穴を作った。
1時間くらいかけて完成すると、意外にいい出来栄えだった。
「写真撮るか」
ボクが言うと、
「写真じゃなく動画にしない?」
アトくんは落とし穴に自分が落ちるから、そこを動画に撮って欲しいと言い出した。
なるほどそれはいい考えだ。
結果は…次回に続く(笑)