総会が終わると、皆次々と席を立った。
集会室の出口は帰る住民の行列ができていてなかなか進まない。
いち早く部屋を出たボクだったが、ワダさんたちと打ち合わせをしなければ
ならない事を思い出し、行列が途絶えるのを待った。
その間、出てくる住民の顔を見ていた。
皆口々に今日の議題や世間話をしながら歩いていたが、その中に晴れやかな
表情で談笑する一群を見つけた。
前期の理事たちである。
一年間管理組合の理事として、また自治会の役員として…その兼務を終えた
人々は、今この瞬間に責務から解放されたのだ。
大変だったであろう活動は(ついさっきまで行なわれていた総会でさえ)すべて
「過去の出来事」となっている。
笑顔は、屈託なかった。
うらやましいなぁ…。
ボクは、一年後に訪れるであろう自分が解放される瞬間を夢見た。
長い長い一年が始まろうとしていた。
<続く>
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