「俺は帰る!」
そう啖呵を切り、鞄に書類らしきものを詰め込むミハラさん。
だが、周囲の反応の無さ――「まぁまぁ」的な発言も、引き留めるそぶりもしない――のを受けて、結局鞄を置いた。
ミハラさんの名誉の為に説明しておくと、周囲が引き留めないのはミハラさんに冷ややかなわけではなく、展開の急さにただ驚いていたためである。
ミハラさんは鞄を投げ捨てるように置いたあと、つかつかとエンドウさんの傍らまでやってくると、さらに大声で怒鳴り始めた。
エンドウさんの傍ら…つまり、ボクの傍らだ(笑)。
二人はボクの頭上で空中戦を始めた(笑)。
はさまれる格好のボクは、ただ首をすくめるしかない。
えらい迷惑な状況なのだが…もしボクが審判の役目を果たしているのだとしたら、感情的にはミハラさんに同調できるが、理屈としてはエンドウさんに軍配が上がっているように思えた。
二人の戦いは決して長いものではなかったが、ボクには永遠に続くように感じられた。
<続く>
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