10_空中戦 | 日陰で絵日記

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 「俺は帰る!」


 そう啖呵を切り、鞄に書類らしきものを詰め込むミハラさん。

 だが、周囲の反応の無さ――「まぁまぁ」的な発言も、引き留めるそぶりもしない――のを受けて、結局鞄を置いた。

 ミハラさんの名誉の為に説明しておくと、周囲が引き留めないのはミハラさんに冷ややかなわけではなく、展開の急さにただ驚いていたためである。


 ミハラさんは鞄を投げ捨てるように置いたあと、つかつかとエンドウさんの傍らまでやってくると、さらに大声で怒鳴り始めた。

 

 エンドウさんの傍ら…つまり、ボクの傍らだ(笑)。




     日陰で絵日記-20111023_kuutyuusenn


 二人はボクの頭上で空中戦を始めた(笑)。


 はさまれる格好のボクは、ただ首をすくめるしかない。



 えらい迷惑な状況なのだが…もしボクが審判の役目を果たしているのだとしたら、感情的にはミハラさんに同調できるが、理屈としてはエンドウさんに軍配が上がっているように思えた。


 二人の戦いは決して長いものではなかったが、ボクには永遠に続くように感じられた。







 <続く>  






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