9_怒りの巨人 | 日陰で絵日記

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 当事者同士だけなら比較的穏便に済むであろう事も、「観客」の存在によってのっぴきならない事態に陥る事がある。

 

 エンドウさん、シバタさんの「わけわからん」発言を受けて、集会室は耳が痛くなるような緊張にに包まれていた。ボクをはじめとするほとんどの人たちは、この状況で「観客」でしかなかったが、「観客」はその存在故に役者を追い詰めるものだ。



 …追い詰められるのはこの場合つまり、ミハラさんだ。

 

 二人がかりで攻撃されたからと言って、大勢の目の前で「私が悪うございました」と頭を下げるわけにはいかないだろう。


 それでもミハラさんは、エンドウさんに言われた通り一言二言説明を試みようとした。

 場を丸く収めようとの精一杯の努力だったはずだ。



 だがエンドウさんはその説明を途中で遮った。



 「ミハラさん、説明してほしいと言ったのはその事じゃありませんよ」



 諭すような口ぶりは、意図しているのかいないのか。

 感じ方によっては上から目線にも受け取れるその口調に、ついにミハラさんが切れた。




 「わからんわからんって…

  あんただって理事長経験者だ、

  わからん事はないだろう!」


    日陰で絵日記-2011018_kireru



 顔を真っ赤にして怒鳴った。

 この人がこんなに怒るのか…と驚くほどの切れっぷりだ。





 確かにミハラさんの説明が的外れなのは事実だった。

 だが懸命に丸く収めようとしているのは伝わっていたのだし、それをそこまで挙げ足取りをするのはいかがなものか…。





 「ばかばかしい! 俺は帰る!」



 

 追い詰められ、ミハラさんはそう言ってかばんを取り出した。

  








 <続く>  






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