アトくんはイタズラ者だ。
物静かに、ゆっくりと、そして案外ヘビーなイタズラをする。
そんなイタズラの中で、ボクが腹を立てるのは食べ物の事だ。
牛乳をテーブルにこぼす。
したたり落ちる様が面白いのか、目を離すと必ずやる。
大きな声で制止しようとしても、ためらうどころか反応さえしない。
まるで聞こえてないみたいだ。
ボクが怒っているのがわかると、一応は謝る仕草をするのだが、「謝る」という行為自体、理解しているとはとても思えない。
この間は、ソーセージの皮が苦手なようで、薄切りにしたソーセージの皮を口から出して捨てた。
マヨは「皮が苦手なら」と、その場でソーセージの皮をわざわざ剥いてアトくんに出したのだけど、今度は口に入れるどころか他のおかずも載っているその皿を持ち上げて、テーブルにぶちまけた。
これには腹が立って大声を出したのだけど、アトくんはどこ吹く風の顔をしている。
そこで、怒りを伝える為に、手の甲を叩いた。
それでようやく怒られている事がわかったのか、アトくんは突然泣き出した。
…もしかしたら、アトくんが皿をぶちまけるには理由があったのかも知れない。
でも毎回理由があるとは思えないし、苦労してごはんを作ったマヨの気持ちを考えると、「悪いものは悪い」と叩き込んだ方がいいと思ったのだ。
賛否両論あるだろう。
でもボクは、食べ物を粗末にするのは大嫌いだし、自分の子供なら、ボクなりの教育をしなくてはいけない。
「食べ物を粗末にするな」というのは、カゲオ家の家訓の第一条だ(…一条しかないけど)。
今日もまた、アトくんとの戦いが待っている。
ごはんさえ終われば、いい子なんだけどねぇ…。
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