今は悩みが増えたのかな。

ごめんよ、

1940年生まれだから、

悩みの質が変わったことに無頓着なのよ。

1946、7年、

年号で言えば昭和21年、22年のこと。

僕で言えば、

小学1年2年のこと。

通っていた分校は西の方角に

進駐軍の基地が複数あったから、

進駐軍のジープがよく通った。

下校時に向こうからジープがやってくると、

ワイワイ声をかけた。

ギブ・ミー・キャンディー!

とか叫んでね。

進駐軍は占領軍のこと。

オーストラリア軍も、インド軍も進駐してきたけど、

圧倒的多数は米軍だった。

つまり、ヤンキー兵で、

今のヤンキーとは意味が違うよ。

ヤンキー兵はみんな陽気で気前がよかった。

何か叫びながら、

キャンデー、チューインガム、チョコレートなどを投げてよこした。

キャンデーもチョコも甘ったるかった。

当時の子供は常に空腹だったから、

甘ったるいほど旨く感じたのよ。

ジープに乗ってるのはハタチそこそこの若い米兵だよ。

みんなカネ持ってるなあ、

と羨ましく思ったな。

でも、1ドルが360円の時代よ。

占領地勤務手当も出たろうから、

大変な高給取りだったってことだよ。

当時の僕らの悩みは、

お腹をいっぱいにしたいというところから生まれた。

腹さえくちくなれば、

おおらかだったよ。

だって、何にもないんだ。

僕らの地域は畑と雑木林が多かったけれど、

電車に乗って都内に行けば、

まだ焼け野原だらけだったもの。

悩みようがなかった。

 

今は社会が複雑化して悩みが多すぎるな。

年若い人や、子供までが悩みの種をいっぱい抱えている。

悩みと向きあっても、

社会から生まれてくるものだから解決が難しい。

子供の悩みは大人のものより深刻なものがある。

不登校はその子にとって

陰湿な学校社会から逃れる1つのいい選択だと思う。

大人の引きこもりはやや後ろ向きか。

引きこもりも高齢化して、

40代50代が当たり前のようになった。

今はその親世代に蓄積があるからいいけれど、

あと30年もしたら高齢者に余裕がなくなるだろう。

僕らが子供の頃、

大人の引きこもりは皆無状態だった。

今と諸環境が違うけれど、

養える環境がなくなれば、

引きこもる人はいなくなる。

どうしていなくなるのかを社会問題として調査研究して、

自然にいなくなる前に結論を出し、

引きこもりの人達が働ける環境を創出する。

これは急がなければならない政治的課題ではないか。

引きこもっている人達の才能資質を活かす場を創る。

すべて良しの結果が待っていると信じたい。