特殊詐欺グループのように、
いや、もつと全貌がつかみにくいのは、
令和の強盗団だ。
摘発中の広域強盗団は、
凶暴性が高く複数の殺人を犯している可能性がある。
1人2人を捕まえても、
残りを芋づる式に逮捕できるわけではない。
新入りの仲間は犯行現場付近で他の仲間たちと落ち合って初めて、
その仲間達と面識を持つ。 
彼らが強盗団に組み込まれたのは、
おそらく1人のリーダーがSNSの闇バイトを使い、
まとまった金が入る仕事しないか、と誘ったたからだろう。
無論、応募する者たちもそれが犯罪に関わる仕事だということを100も承知だったはずだ。
リーダーの周りには、
1人2人の参謀役がいると思う。
リーダーを含めて彼らが十分に下見を行い、
強盗として押し込む先を決定する。
それを仲間のうちから、
3人から5人を選んで実行させる。
連絡は秘匿性の高いテレグラムを使う。
車はレンタカーを借り犯行現場近くに駐車し、
犯行をすませば直ちにそれに乗り引き上げる。
彼ら強盗団の際立った特徴は暴力性である。
これは犯行に加わった全員が暴力を働くことにより、
連帯責任を負わせるためだ。
仮に逮捕されたとしても、
おれは暴力は働いていない、殺しには参加していない、という言い訳をさせないためでもある。
さて、警察当局は、
この流動的な強盗団のリーダーにたどり着くことができるだろうか。

その前に、
ネット以前の強盗グループについて大まかながら触れてみたい。
当時の強盗グループは、
刑務所の服役で知り合った仲間同士のこともある。
平日のパチンコ屋で昼間からやっているパチンコ仲間が、
昼飯などを一緒にしながら悪い企みに走る場合もあった。
この場合、前歴のある者もいるし、
それまで逮捕歴などもなかった者もいるだろう。
ゲームセンターや、
公営ギャンブル場で知り合った常連同士の場合もある。
経歴、前歴などは様々だったろう。
昼間からやっている飲み屋の常連同士の場合もあった。
いずれにしても、
当時の強盗はその常習者なら単独でやることが多く、
刃物などで脅してもよほど自分が危ない展開にならなければ傷つけることはなかった。
どこかで仲間と知り合ってやる強盗は、
2人組、多くて3人組で、
要するに単独ではできないから仲間を誘ったのである。
やはり、ほとんどの場合は被害者を縛っても大怪我をさせたり、
殺したりすることはなかった。
言い換えれば、
アナログ時代の強盗は仲間と親和性が高く、
仲間の経歴や、前歴も、
おおよそのことは互いに話すので心得ていたのである。
仮に逮捕された場合のことを考えて、あまり凶悪なこと
はできなかった。
ところが今は、
SNSの闇サイトで募って仲間を得る。
その仲間と人間関係があったわけでもなく、
誰が仲間に入ってきても経歴や、前歴は関係ない。
リーダーのテレグラムによる指示通りに強盗を働いて分け前のやりとりがあればそれでいいし、
もらうほうもそれでよしと。
その場限りでやって、
またその場限りで参加すればいい。
いつまで経っても人間関係は成立しないし、
親和性はないままである。
ネットのおかげで強盗働く機械の歯車の1つになれば分け前が得られる。
もうヤバイな、と思ったらテレグラムで新しい強盗先があると言ってきても断ればすむ。
そういう希薄な関係だが、
今の人たちには後腐れがなくて楽だ、
と思う人も多いのだろう。
このような状況があるので、
ネット利用の強盗団には十分な警戒が必要だと思う。