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 こんな電飾のクリスマスツリーは

今の時期 いったい幾つあるんだろう。

これは我が家の最寄り駅JR中央線のM駅前のものだけど

全国の駅前に設けられたものだけでも大変な数になるだろうね。

駅前電飾クリスマスツリーをすべて集めたら

電飾の森が出現するかな。

その森の中を独りで歩いたら

きっと10分で僕の精神は失調しそうだ。


30代前半の頃

週間テレビガイドのリライターをしていたが

スター小説という企画が持ち上がり

当時のアイドル歌手達のサクセス物語を

1人1話3週連載で書くことになった。

まだ小説の新人賞受賞前で

何十万部もの発行部数を誇る週刊誌に

例え実録ものとは言え

小説を連載することになったのだから大張り切りで

担当記者 カメラマンと共にインタビューに出かけた。



その数年前は同誌で取材記者もやっていたので

スターの取材には慣れていたつもりだった。

まだ元気いっぱいだった美空ひばりさんにも

アポを取ってインタビューに出かけたが

「お嬢は今着替えが大変で・・・」

と お母さんが出てきてお母さんに取材する羽目になった。

お母さんの話はなかなか面白かった。

ラジオで笠置シズ子のブギウギが流れてくると

その舞台を見たこともないのに

巧みに踊りながら

笠置シズ子よりうまく歌ったとか。


スター小説は10話ぐらいやったかなあ。

野口五郎 麻丘めぐみ 森昌子 西城秀樹 森進一・・・

あと名前が出てこないなあ。

アイドル歌手の取材はけっこう大変だった。

こっちの質問にちょっとでも詰まると

同席していたプロダクションの社長とか

マネージャーが代わって答えた。

スター小説の連載の終わりは

誰だったかなあ。

カメラマンや 担当記者はそのまま社に帰り

僕は別れて新橋のガード下で独り酒杯を傾けた。

イブまで1週間ぐらいあったのに

当時は街のどこを歩いても

ジングルベル一色だった。

飲み屋を出て小さなクリスマスツリーを

並べている店があった。

そうだとうなずいて僕は1つ買った。

その年の夏に生まれた長男への

プレゼントのつもりだった。

麻丘めぐみちゃんだったかなあ

真っ白い衣装で現れて

ホワイトクリスマスを連想させた。

それが印象に残っていて

買ったんだろうね。

珍しいことをやったもんだから

駅のベンチに忘れた。

電車に乗って気づいて

次の駅で降りて戻ったときにはもうなかった。

ーお前らしくないことをするからだー

誰かに叱られたような気がした。


後年

テレビに出ずっぱりの時期が訪れて

スター小説のモデルの何人かと共演したが

みな僕に気づかなかった。

そりゃそうだろ。

活字媒体の取材だって山ほど受けた人達で

いちいち覚えているわけがない。

それに僕は親戚でも解らなかったほど

カゲキなファッションに変貌していたから。