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 北条政子は

 源頼朝挙兵の後ろ盾となった

 伊豆の豪族北条時政の娘である。

 流人の妻という立場だったが

 頼朝が鎌倉幕府を開いて

 御台所 つまり

 天下人の妻になった。

 頼朝の死後

 頼朝を武家の棟梁として戴く

 有力御家人の連合政権的

 色合いの強かった鎌倉幕府は

 政争と

 武力行使を伴う政変に明け暮れたが

 政子の実家の北条家が

 強大化した。

 その過程で政子は実子である

 2代将軍頼家 3代将軍実朝を

 相次いで暗殺で失い

 悲劇の母になり剃髪した。

 しかし

 4代将軍に藤原頼経を擁立する前後から

 幕府の実権を握り

 尼将軍と呼ばれるようになった。

 執権家としての北条家が

 盤石になったのは

 3代執権泰時の時代で

 そうなるまでには

 尼将軍政子の辣腕があったと言われる。

 政子は幕府の要職に就いたわけではない。

 コントロールしただけである。

 今風に言えば

 政権党のトップにならずして

 女性宰相になったようなものである。

 政治家としての資質に優れていたのだろう。

 反面

 北条家を守るために

 権謀術策の限りを尽くし

 マキャベリスト的でもあった。


 さて

 今 日本の政界は総選挙を控えて

 実にドラマティックに流動している。

 自民1強政権を驕る平家に例えれば

 驕る平家を倒そうと

 反平家勢力があちこちで挙兵した。

 木曽義仲は平家を西国に走らせたが

 源頼朝の下知を受けて

 異母弟の義経が義仲を討ち

 更に

 西国で勢いを盛り返した

 平家追討に乗り出し

 壇ノ浦に平家を沈めた。

 実際の総選挙はどんな結果になるのか。

 結果を受けて

 新たな離合集散が始まり

 もしかしたら

 日本初の女性宰相を生む道筋が作られるのか。

 それとも

 それはうたかたの夢として消え去るのか。

 しばらくは興趣が尽きないことになる。

 

 
※ 写真は別冊太陽 「川本喜八郎~人形ーこの命あるもの~」からの引用です。