進学問題かい?

 転職のことかい?

 決婚問題かい?

 まっいいや 何でも。


 問題は何がテーマでも

 折り合いがつかない

 ということなんだから。

 
 僕らが若い頃はね

 親がいる土俵と

 僕がいる土俵と

 3分の1ぐらいはダブっていたんだよ。


 土俵というのは

 それぞれの価値観のことだよ。

 そりゃ

 昔だって親とはことごとに

 意見がちがったさ。

 でも
 
 だぶっている部分で

 話しあって

 折り合うことができた。


 今は違うんだよ。

 きみは20代半ばか

 親の土俵と

 きみの土俵じゃ

 トランプと

 金正恩ぐらい離れてる。

 1ミリだってだぶっちゃいない。

 きみときみより

 10歳下の世代の価値観だって

 100分の1ぐらいしか

 だぶっていないだろうね。

 それだけ今は

 価値観の変化が速いってことさ


 きみときみのご両親じゃ

 こと価値観に関しては

 異邦人同士もおんなじなのよ。

 話しあっても言い合いになる。

 取っ組み合いの喧嘩にもなるさ。


 きみにとって何の得になる。

 まず親の価値観を理解する

 それが大事なのよ。

 親は古びた価値観を抱えて

 そのうちリタイアする。

 古い価値観と

 真っ直ぐ向きあったって

 しょうがないだろ。

 
 うんうんとうなずいていれば

 親は満足するんだ。

 お願いの筋があるということで

 下手に出てみろよ。

 親なんて親バカだから

 他愛ないもんだぜ。

 
 つまり

 価値観の対立を避けて

 こっちの要求を通す。

 それでいいんだろうが

 エビという古い価値観の頭をなでて

 タイという本願を釣ることに徹する。

 それが親と折り合う秘訣だよ。