モルモン教の通称で知られる末日聖徒イエス・キリスト教会は

 信者が守らなければならない戒律が大変厳格なことで知られる

 ユタ州のソルトレイクシティに本拠を置いて

 日本でも活発に布教活動を行っている同教団は

 アメリカ合衆国でも西部開拓史の裏面のページを彩る

 特異な発展を遂げてきた


 日本で言えば幕末期

 排他的で独特の戒律を持ち

 欧米社会には馴染まない一夫多妻制をとる同教団は

 東部で地域住民と軋轢を繰り返し

 初代教祖を暴徒によって殺されるという

 痛ましい事件もあって自由な天地を求め西部への移動を開始した

 そして ソルトレイクの畔に安住の地を定めた

 それが現在のソルトレイクシティである

 それからしばらくの時が過ぎて

 初代教祖を殺した中心人物が加わった西部を目指す幌馬車隊が

   ソルトレイクの近くに差しかかった。

 その情報を得ると 一部のモルモン教徒は武装して幌馬車隊を襲撃し

 皆殺しに近い虐殺を行った

 アメリカ連邦の陸軍がモルモン教の武装蜂起隊の制圧に乗り出した

 モルモン教徒は一丸となって連邦陸軍を迎え撃ち勇敢に戦った

 現ユタ州の山林地帯での戦闘は連邦陸軍にとって困難を極め

 積雪のシーズンに入ったので撤退した。

 これをユタ戦争と呼んでいる

 後に連邦政府と同教団は和平条約を結び

 幌馬車隊虐殺事件の首謀者は教団が差し出す形で銃殺刑に処された

 更に後年の1890年、日本で言えば明治中期になって

 教団は一夫多妻制を廃止している


 日本人のモルモン教徒でも

 かって一夫多妻制だったことや

 ユタ戦争のことを知らない人がいる