★好敵手崩れ
どんな世界にも好敵手
つまり ライバルがいる
ライバルだから敵愾心はある
それから始まったからライバルだろ
競いあううちに絆が生まれる
互いに切磋琢磨する
だが
一方が抜きんでてきて
もう一方が常にその後塵を拝するようになると
やばい
前者を未来のきみとしようか
後者は敵愾心のみとなり
それにねたみそねみが加わる
それでも
きみのいる世界から去れば問題ない
去らずにいると裏切りを行うことが多い
宮仕えでこういう元ライバルがいると
野心家と組んできみを蹴落とそうとする
こんな事例は腐るほどあるぞ
★忠実な懐刀
若いときから
きみに一目も二目も置いて
きみを慕い
気がついたらきみの腰巾着
忠実な懐刀的存在になっていた
きみにとっては重宝極まりなかったが
その代わり
公私にわたり物心両面で
いろいろ面倒も見てきた
元々きみの能力に惚れきって
懐刀になった人間だ
きみを追い抜くことは永久にできない
この懐刀より能力に勝る
若い後輩がきみのそばにつくようになった
利発ぶりを発揮すれば
きみは当然この後輩に目をかけるようになる
このときの懐刀は
複雑な心境になっている
そろそろ自分の先行きが見える年頃になっている
きみの懐刀という立場を
後輩に奪われそうだ
おれの人生って何だったのだろう
そんな虚しさに襲われる
こういうときに悪魔のささやきが起こる
きみが何かの会社の枢要な地位にいたとしよう
きみの懐刀は同業他社の人間から
悪魔のささやきを受けて
きみの管理下にある機密データを
同業他社の人間に漏らす
それにきみが気づいたときには
機密データの大部分は
同業他社の知るところとなった
先の見えた懐刀には要注意だ
★久々に現れた元親友
20年前にちょっとしたことで絶交した
元親友がきみの前に現れ
親友時代と変わらぬ親しい態度を見せた
これは要警戒だぞ
音信は絶っていても風の便りに
その元親友の状態が知れているならまだいい
いい状態なら懐かしさに耐えかね
昔通りの親友同士として復縁したい
という気持ちがあると見ていい
悪い状態なら
きみの前にはまず現れない
問題は音信を絶った元親友の
その20年間の状態が
風の便りにも伝わってこなかったのに
ふらりと現れた場合だ
どこで何をしていたのかがまったく知れない
この元親友とは復縁してはいけない
きっと魂胆があって
きみはとんでもないことに巻き込まれる
その空白の20年間のことを
華麗な成功譚のように語ったら
ますます怪しい
絶対 その元親友に気を許さないことだ