鏡のような湖面だろ。
津久井湖だ。
この湖もそうだけれど、
東京近郊には人造湖が多い。
相模湖、奥多摩湖。
それぞれ多摩湖、狭山湖の別名を持つ
村山・山口貯水池も広い意味では湖だろう。
遠い昔、思い立ってフラッと相模湖へ行った。
学校の遠足でもきているし、
 3度目の訪れだったかな。
快晴だったのに、
湖面が暗く翳った。
顔を上げると、
西南の空に灰色に変わった入道雲が、
ムクムクと晴れたところを侵食していた。
湖面では小波が立ち、
ポツポツと大粒の雨が降り出した。
瞬く間にスコール風になり、
風も吹き募った。
小波は小型ながら、
しっかりした波浪になった。
オイラはずぶ濡れになりながら、
ほんのしばらくは湖岸に立ち尽くしていた。
でも、すぐに我に返り、
近くの茶店に駆け込んだ。
なぜ、つかの間、立ち尽くしていたのか。
湖面が噴き上がり、
湖底から何者かが咆哮しながら、
姿を現すような予感があったからだ。
ゴジラのような怪獣を期待していたのかもしれない。
それとも、ネス湖のネッシーか。
 
それはともかく、ランペの「ツナゲキズナ」は、
オイラの今の気持ちにぴったりくる。
オイラは関節リウマチで、
要介護4の車椅子ユーザー。
その自分を素直に受け入れたことで、
新しいオイラの世界が始まったのよ。
その世界でオイラは1番になろう、
といつも思っている。
ツナゲキズナを動画で見ると、
16人それぞれが代わる代わる歌い踊っている。
その16人の顔を見て、オイラ思ったのよ。
みんなトンがったたように見えるのは、
ランぺというグループを象徴している。
でも、一人ひとりの顔を見ると、
ハングレ風もいるし、大学の応援団長風もいる。
牧師の見習い風もいるし哲学青年風もいる。
どこか病弱的なのもいるんだよな。
ああ、これって思ったね。
今のZ世代を象徴する16パターンの顔だって。
z世代は16人の誰かに自分を重ねているはずだ。
しぶとい人気の一因がここにある。
ところで、ツナゲキズナは良い楽曲だぞ。
鏡のような湖面をあちこちで噴き上げて、
16人が姿を現す。
いつの間にか湖面は雄大なステージとなって、
16人は所狭しと歌い踊る。
 
♩ ツナゲキズナ
     ツナゲキズナ
     目指すは1番上だ
     理想カタチにするエナジー
     躊躇わない
     決して不可能じゃない
     ツナゲキズナ
 
今のオイラにぴったりな歌詞にしびれた。
この楽曲はもっともっと流行るべきだ。