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 鋭利な白い光は

 スパッ

 と僕の腹部を切り裂き

 白い輝きを広げると

 煙のように消えた

 その間

 一瞬のまた一瞬

 幻影だったのかな

 いや違う

 きみに切り裂かれる前は

 黒い邪悪な存在が

 とぐろを巻いていた

 いまはそんな感覚もなく

 僕のお腹は清々しい

 ところで

 きみはどこからきて

 何のために

 そいつをとりだしていったんだ

 そいつのそそのかしに

 ぐらりときて

 邪悪なことに

 惹かれ始めていたところなんだ

 
 教えてくれないよなあ

 
 じゃ自分の幻想で納得しよう


 僕のお腹に巣食っていた

 あいつは

 蜘蛛の糸を伝って

 この世へ上がってきた

 カンダタというやつだ

 カンダタをモデルにした小説では

 カンダタの後を

 多くの罪人が追ってきたが

 カンダタはそれに気づいて

 蜘蛛の糸を自分のすぐ下で切り

 自分だけ天国ではなく

 途中にある

 この世に這い上がった

 
 以来

 カンダタは黒い邪悪な存在となり

 人の腹から腹へ移って

 黒く染めてきた

 腹黒になった人が

 悪事を働くと

 腹腔内に黒い粘液を出す

 あいつはそれを吸って

 エネルギーにしていた

 ---で いいかな

 となると

 きみは閻魔大王が遣わした

 エグゼイド

 いや

 月光仮面かしら

 とにかく

 ありがとう

 人間て弱いから

 ありがとう